多数の欠点を抱えた新世代モンハン / モンスターハンター:ワールド
(2024/09/25:大幅に加筆、修正)
「テキトーにやってれば40時間ぐらいで終わるだろ」と軽い気持ちで始めた『モンスターハンター:ワールド』(アイスボーン含む)。2022年4月現在、気づけばプレイタイムが180時間を超えていた。
当初は「サクッとラスボスを倒したら終わりにしよう」とか思っていたのに、今や王カーナ討伐その後までやっている。しかもまだまだやる気は継続中ということで、どう考えてもハマりすぎである。
さて今回は、ここ最近熱中没頭してる本作の感想でも書こうと思う。非常に面白いことは間違いないが、全編通して良くも悪くも思うことがかなりあるゲームだった。それらを一度まとめておきたい。
ちなみにプレイしたのはすべてのアプデが終了してからの時期で、ワールド単体や初期のレギュレーションとは結構話が違うことを留意して欲しい。過去バージョンとは異なり、もしかしたらアプデで良くなったりしている部分があるかもしれないが、それはそういうことで。
良いところ
非常に精美なグラフィック
まず何よりも評価するべき本作の素晴らしいポイントはやはりコレだろう。カクカクしたポリゴンや海苔みたいなテクスチャ、チン毛みたいなエフェクト(龍属性攻撃)から脱却し、次世代機のスペックをフル活用した美麗な狩猟世界をこれでもかと演出していた。
私はそもそも、ゲームにおける「グラフィック」というものをあまり重視していなかった。別に今PS2のゲームをやってもそこまで古くは感じないし(さすがにPS1以前とかだと感じるけど)、それを理由にプレイ続行の可否を決めることもない。
ということで、こういった部分に対しての感動に鈍さがあった。「キレイならキレイでいいけど、別にそれ以上の何かはないよね」と思っていたのだ。しかし、最序盤のアンジャナフらへんのくだりで感動し、大興奮。圧倒的な臨場感をもたらすその美しさに、ただ呆然としていた。
さて、「グラフィックがキレイ」というのは結構曖昧な表現で、見えるものすべてを総括して、そう表現しているに過ぎない。
詳細を見ていくと、本作は、遠景が現実のように少しぼやけていたり、草木が風に揺れる細かい動きがあったり、水に触れたら波紋が出たり(非ムービー中)、とにかく細部がリッチだった。
そして何よりモンスターの質感。肉質的に優れていない部分は徹底的に堅く、そうでない場所は肉感がある。もちろん必ずしもそうというわけではないが、視覚的に弱点が分かるほど、生物としての表皮のぬらつきや鋭利さがはっきりしていた。
私はポータブル時代のモンハンを一番やっていたのだが、あの時代に相対した、それこそ無限にも思える回数見たモンスターでも「お前の毛ってこうなってたのか!」と、新しい感動が生まれていた。ただ視覚的に楽しい、そんな記憶が強くある。
ストーリースキップ用の防衛隊装備
昨今のゲームは度重なるアップデートやDLCによって、もはや「発売してそれで終わり」の形では無くなっている。むしろ「発売してからが本番」だ。
昔はどれだけバランス調整が済んでいなくとも、まだやりきっていないことがあっても、発売されればそれが区切りになった。開発者が作り直したいと思うなら続編や、あるいはリマスターまで待たなければならなかった。しかし、今はいくらでもあとからやり直せるようになった(これについての功罪もあるが割愛)。
細かい部分の修正だったり、追加コンテンツ(本来なら実装されるはずだったあれこれ)などはまさしくそういった例だろう。そして本作も例にもれず、熱心なアップデートにより発売当時とはまるで環境が変わったそうだ。
さてそうなると、長く楽しめるということ自体は悪くはないのだが、遅れて参戦したプレイヤーはその伸びに伸びた膨大なコンテンツの前に少し萎縮するのは想像に難くない。もともと小さなコンテンツではなかった本作がどんどん魔改造されていったのだから、もはや最後までたどり着くことすら億劫に思ったとしても仕方ないだろう。
そこで、本作にはいわゆる「アイスボーンまでさっさと行ってくださいね」の措置として、防衛隊装備というものがある。これは武器も防具もヤケクソみたいな性能をしていて、アイスボーンまで一切装備更新等をサボっててもなんとかなるぐらい強い。実際、私はマスターに入るまで装備作成をした覚えがない。
人によってはじっくり装備を整えて進むのが楽しいという意見もあるだろう。それは大いに理解できる。しかし、個人的に今回の防衛隊装備に関しては「開発、ありがとう!」としか思わなかった。だって早くさっさと進めたかったし。
そして、これの良い点として「使っても使わなくてもいいよ」という選択肢性になっているところが目を引く。前述した「装備作りたい派」は存在を無視すればいいし、私みたいにさっさと進めたい人は喜んで飛びつくし。「どっちにする?」という選択が与えられていたのは良かった。
「まずは最後までたどり着いてほしい」ということを念頭に、それでいてゲーム性を崩壊させない処置としての防衛隊装備は非常に良い塩梅だったと思う。コレがなかったら結構な長旅になってたかも、と思うと感慨深いものがある。
各種不自由な部分の撤廃、調整
こと、モンハンというゲームは不便さとの共存を余儀なくされる作品だった。回復役を飲んだ後のガッツポーズ、寒暖差を補うためのドリンク、モンスターの逃走先を表示するためのペイントボールなどなど・・・・・・。「これいる?」と思わないプレイヤーなどきっといなかっただろう。
もちろん、それらはただ面倒というだけではなく、ゲーム性というスパイスを効かせていたことは間違いない。不快で不満であったが、ある意味必要悪とも言える存在感があった。面白さとスレトスは紙一重だ。まあ無いなら無い方が良いんだけど。
さて、本作ではそういった「別になくてもいい要素」が軒並み削除された。かなりいろいろと調整が入ったが、少なくとも上記のあれこれはもう無い。驚くべきことに、ピッケルや虫網なども無限ユーティリティ化してしまったのだから衝撃だ。
人によってはこれは不満点なのかもしれない。もともとモンハンはハンティングシミュレーターとしての側面が強く、その雰囲気や世界観を演出するためにそういったアイテムが存在していた。狩ることも目的ではあったが、それと同時に、非力な人間が道具を使ってモンスターに対抗、準備することも主題だったのだ。
それ故のアイテム依存度の高いデザインではあったのだが・・・・・・時代は変わった。いつの間にかモンハンは派手なアクション、身一つでモンスターと戦うようになり、自分より大きなモンスターと相対することへの恐怖はいつからか無くなった。純粋なアクションゲームになったのだ。
そうなると、雰囲気要素としてのフレーバーはむしろ足かせ・・・・・・ただ面倒なだけの要素になる。これまでのお約束を廃するというのは非常に思い切った決断だが、私はこれを高く評価したい。あんなもの、本当に要らなかったのだ。
しかし中には、捨てきれないお約束も存在し、それが違和感を生んでいる。たとえばランダムスタートだ。
上位以上のクエストになると、キャンプではなく、ランダムな場所からスタートする可能性がある。過去作においてはある種のびっくり要素であったのだが、MHWでは形骸化した謎のシステムになっている。
というのも、過去作と異なり、本作はファストトラベルができる以上、ランダムスタートの意義がかなり薄いのだ。別にこの仕様があってもなくてもどっちでも良いのだが、他との噛み合いがやや不自然に感じられてしまう。
また、こういったお約束の排除に関して、私が革命だなと思ったのはスキルの発動方法だ。本作からはスキルポイント制が撤廃され、装飾品ひとつでなんでも発動するようになった。これがとても良い。
過去作のモンハンのスキルと言えば、部位ごとになんのスキルポイントが割り振られ、何をどう組み合わせればいいのかがわかりにくかった。そして相反するスキルの仕様もあり、かなり初心者お断りの側面が強かったように思える。
しかし今回からの刷新によって、より感覚的に、直感的にスキルを構築することが可能になった。装飾品の厳選という新たな苦行こそ追加されたが、それは置いといて良い変化だと思う。
すべてが地続きのマップ
過去作プレイヤーが本作をやって一番驚くのは、やはりマップじゃないだろうか。
本作はエリア内すべてがひとつのフィールドとなっていて、ロードのために区切られていたりとかはしない。モンスターが転倒してエリア端に行ったので、追撃に近寄ったらエリア移動しちゃった、なんてあるあるはもう起こらないのだ。
コレを経験すると過去作のマップ探索がかなり億劫になる。それこそ、たどり着いたと思ったら飛翔してすれ違いになったりと、細かいイライラが移動そのものに付随してしまうからだ。
しかし実は、本作のマップはダメなところのほうが目立っていたりはする。クリアしてなお経路が覚えられないほどあまりにも複雑な古代樹の森、探索機能そのものが形骸化しているとか、地図の情報量が悪い意味で多すぎるとか・・・・・・。
だが、それらを加味してなお、ひとまずは地続きのマップによる開放感をここでは推したい。仕様上仕方なかったとは言え、エリア間ロードというものは没入感を著しく阻害していたんだなと強く感じた。
ダメージの可視化
モンハンと言えばそのマスクデータの多さが特徴とも言える。それこそ、攻略に際して必須情報である肉質ですら、ゲーム内で確認する方法が昔はなかった(公式ハンターノートが実装されたのは本作の素晴らしいポイントの1つ)。
攻撃した時にヒットストップが発動するかどうか(勢いよく血が出るかどうか)で確認する他無く、具体的に肉質数値がいくつか、というふうに定量化するには攻略サイトや攻略本を参照しなければならなかった。今思い返すとなかなかな仕様だ。
そうなると「この攻撃はどれぐらいのダメージを出しているのか」が分からないという問題が発生する。まずモーション値すら不明なのだから、最終的なダメージ量がはっきりしないのは当然。
もちろん、そういうものが分からなくともクリアは可能だ。しかし、論点はそこではなく、あまりにも不便・・・・・・というか秘匿的すぎるという部分だ。まさかあんな派手な見た目をしている竜撃砲が微妙な威力だったとか、実はハンマー縦1は強力だったとか、そんなこと通常プレイでは知る由もない。
そこで、今回から実装されたダメージ表記というのはまさしく革命と言うにふさわしいシステムだった。シンプルに、どこを殴れば良いとか、なんの技が威力が高いとか、その過程にある肉質数値やモーション値を加味せずとも「戦略的に有効なアクション」が分かるようになったのは大きい。
それに連なり、特殊パターンによる硬化なども判別が容易になったのも素晴らしい。最初こそダメージ表記は違和感があったが、すぐに慣れた・・・・・・というか、快適すぎてもはやゾッコンだ。
また、鮮やかな色の数字が羅列されるとシンプルに気持ちいいという側面もある。強力な攻撃を繰り出してからの4ケタダメージは最高にハイになれるし、いずれにせよ、ダメージ表記は大正解の仕様であったことは間違いないだろう。
アイテムショートカットUI
地味だがかなり大きい部分がコレだ。
本作のショートカットは、まずリング上にアイテムを設定し、スティックをその方向に倒すことで使用できる。旧モンハン勢なんかは画面下のアイテムスロットをカタカタループさせてアイテムを選ぶのがおなじみだが、もう今の時代じゃそんなことはしない。
最初こそこのショートカットには抵抗感があり、そこまで重視してはいなかった。しかし、装衣やスリンガーなど、だんだん使うアイテムの数が多くなってくると頼らざるを得なくなり解禁。使用感としては最高の一言、特に暴発もしないし、何より反応がスムーズすぎる。
ただアイテムを選択するだけでなく、調合も可能だ。そしてチマチマひとつずつやるのではなく、ワンポチで最大数調合してくれるのだから楽極まりない。
こういう、過去作にあった「こうだったらいいのに」なんて不満点が解消されている・・・・・・細かい利便性を良くしているのが本作だと思う。
悪いところ
主張の強すぎる微妙なストーリー
これから20年後のモンハンをやっていても、MHWの思い出としてこれを言うと思う。そしてわたしはこの意見を変えることはきっとないとも思う。ストーリー、いらない。マジでいらない。
内容がつまらないとか、脚本がアホ過ぎるとか、そもそもモンハンにそういうのを求めていないとか、さんざん言われてるであろう部分はもういっそ何も言わん。私が一番理解できないのは、どうしてスキップ機能がないのか、ということだ。
「ストーリーが嫌なら見なけりゃ良いじゃん」という意見は非常に正しく、ごもっともだ。確かに、誰も見てくれなんて頼んでないのにわざわざ見て文句を言うカスはこの世にいるわけだし、嫌なら見るなは正しい。・・・・・・MHW以外においては。
残念なことに、この「嫌なら見るな」は本作では通用しない。だって見たくないのに強制的に見させられるんだから。
スキップ機能があれば、私のようなプレイヤーにこの部分をガヤガヤ言われることはたぶん無くなるはずだ。文句を言うやつは見なけりゃ良い、飛ばせるのにわざわざ見て文句言うのはアホだ。・・・・・・でも、飛ばせない。なんで?
モンスターの根本的なAIや行動をパッチでどうにかするのは難しいと思う。だからその対応が一切こないままクソモンスがクソのままそびえ立つとかはわかる。でも、ムービースキップ機能を入れるってそんなに難しいのだろうか? 発売からここまで時間が経ってもまだその「選択肢」が無いことにびっくりした。
このゲームはストーリーを強制的に見せたい部分を始め、「開発による押し付け」を随所に感じる作品だなとひしひし感じる。クラッチクローも然り(後述)。
クラッチクローという存在そのもの
「新要素」というのは何かと物議を醸すことが多い。そしてそれは概ね悪い方向で盛り上がってしまう。歴代モンハンの新要素は今でこそ受け入れられたものも多いが、当時は何もかもが批判の対象になっていたように思える。そして、アイスボーンから実装されたクラッチクローも例に漏れず、そういったものだった。
まず、戦闘の自由度が狭まった、みたいにマイナス面として語られることの多いこのシステムだが、個人的には非常に良いものだと感じた。ただ、それを潰そうとするモーションやAIはカスだなと思う。ということで、必ずしもすべてが害悪ではなく、根本は良いと思っている。根本は。
傷つけについて。
肉質の大幅な軟化により部位破壊がしやすい+ダメージ効率が良くなるので狩猟そのものがスムーズになるのは素晴らしい。ミラボレアスのように、傷つけても肉質が1しか変わらない特殊な例もあるが、基本は殴る部位を傷つけておけばかなり幸せになれる(会心的な意味で)。
3分に1回の更新が必要、終盤は傷つけ前提のクソ肉質がデフォとなんだこれな部分もあるが、メリットとを秤に乗せたら個人的にはあって良いものだと思う。とにかく、クソ肉質に対しての有効打ができたのは非常に良い。
これまでは明確な武器相性での不利や、クソ肉質への対抗策というのが限定的で、それこそポータブル時代のグラビモスは全体20分のうち15分が腹の破壊作業というとんでもない苦行だった(爆弾などをフル活用しても楽ではない)。そういった状況の打破としての傷つけは非常に歓迎されるべきものだろう。
ぶっ飛ばしについて。
大ダメージ+強制ダウン+傷つけ部位に追加ダメージとボーナスのシャワーみたいな技。だからこそ失敗したときの気分低減っぷりが尋常じゃない。マルチでミスったときはマジで申し訳ない気持ちになる。
非怒り時限定という条件付きだが、それにしても強力な攻撃手段だ。罠や状態異常とは別に拘束できるシステムで、そこにダメージのおまけまで来るんだから最高としか言いようがない。
ただ壁の判定がうさんくさかったり、壁に対してちゃんとした角度で当てないとぶっ飛ばしが無かったことになるのはイラッとした。特にアルバのエリアはもっとちゃんと壁を作ってほしい。なんだあの悔しさ全開の配置。
さて、ここまではクラッチクローに対して比較的ポジティブに捉えた感想なのだが、それらとは別にストレスを感じる部分がかなりの数存在する。今度はそちらを抜粋して見ていこう。
クラッチの拒否について。
クラッチクローを使わないとしんどい→わかる
だからクラッチしてね!→わかる
でもクラッチしてきたら振り払うよ!→は?
相手のモーションを見ずに脳死でクラッチしてふっとばされるのはプレイヤーが悪い。それはただ突っ込んでブレスに焼かれるのと同じだ。これはまだ理解できる。
しかし、モーションを見て最速に近いタイミングでクラッチしても、突進とかで無理やり引き剥がそうとするのは意味がわからない。特にラージャンのクラッチ拒否については失笑モノだった。
どっちだよ。クラッチしてほしいのかしてほしくないのかどっちだよ。コレにつきる。アイスボーンをやってて覚えた不快感はだいたいコレな気がする。やってほしいのかやってほしくないのかが分からない。開発の意図が読めない。
このクラッチ拒否については本当に開発の真意が分からなさすぎた。クラッチ開発した人のことをモンスターの挙動担当がめっちゃ嫌ってたんじゃないかと疑いたくなるレベル。
使うことを前提とした様々な仕様について。
どうしても使ってほしいのか、クラッチクロー強制感のあるシステムもなかなか嫌になる。クラッチクローで肉質を削らなくてはどうしようもない体力や素の肉質になり、最終的に「使いたければ使えば?」ではなく「使わないと戦いにならない」にまで発展した。
かつてMH4Gには極限化という黒歴史が存在した。それは簡単に言ってしまえば「こちらとしてはもうやりようがないのでハメが一番の戦法」という、もはやアクションゲームを否定するような事態にまでなったバトルコンテンツだ。
もちろん、MHWはそこまでじゃない。しかし「これを絶対に使ってください」という暗黙の押し付けでゲームが回るこの構造は、ややも極限化に近しいものがあると思う。
およそモンハンというゲームは「使わないとダメ」な調整をすることが多々ある。「使うと楽しいよ」にならない、この発想こそがクラッチクローを取り巻く数多の悪さの根源に潜んでいると感じる。
全体的なテンポを阻害している点について。
相手との距離をすぐ詰められる、わずかな怯みに対して追撃を即座に発動させられる・・・・・・この点だけ見ればクラッチクローは非常に良いものだと思う。モンスターとの距離を即座に詰める、というのは実際、これまでに望まれていた機能と言っても差し支えないわけだし(ダウンでわざとらしく距離をめっちゃ離すドドブランゴとか)。
しかし、実際ゲーム内で使ってみるとそのもっさり挙動にげんなりしてしまう。クラッチクローに切り替える動作も、クラッチクローを狙う場面も、どれもが遅く、バトルの全体的なテンポを悪くしている。ここがもう少しスムーズなら良かったのだが・・・・・・。
また、テンポ問題の一端として、武器ごとに傷つけ回数が異なるというのも忘れてはならない。これはトレードオフの概念としては正しいのだが、しかしシンプルに面倒くささに拍車がかかっているだけで、プラスになっている場面が見られない。
ただでさえ面倒くさいクラッチクローがさらに敬遠されるに違いない調整だと思う。スキルで改善は可能なものの、そもそもこれについては別に武器種で分けなくてよかったのでは? と思えてならない。
クラッチクローというのはやればやるほど不満が噴出するシステムだ。前述した通り、基礎自体は良いと思うのだが、上手いこと調理できていない様子が見られる。
もしかしたら、クラッチクローは多くのプレイヤーに受け入れられる革新的なギミックになっていたのかもしれない。うまく親和性を高められれば「コレがない過去作はもうできない」とまで言わせられる要素になっていたのかも。まあ、今となっては妄言でしかないが。
ゴミみたいな挙動のモンスター
もはやこのバカ共を思い出すだけでイライラしてくるので、名前と短評だけ書いて消化する。
リオレウス亜種:翼破壊で滞空時間減少とかで良かったろ
バゼルギウス:シンプルに邪魔。どこでも首突っ込んでくる。首無いくせに
クシャルダオラ:お前と戦って何が楽しいの?
ナナ・テスカトリ:小学生が考えたようなパワーデザイン。はいはい強いでちゅね~w
バフバロ:邪魔。3回りぐらい小さかったら許せた
ベリオロス:気持ちよくない。強くはないけどただバトルに気持ちよさがない
凍て刺すレイギエナ:お前のせいで辞めかけた。合流と隙消しヒャダルコがクソ
強制される痕跡集め
メインクエスト進行における痕跡回収は、モンハン史上最もつまらなかった瞬間だと言っても過言じゃない。つまらなさすぎてゲームをやめかけた。時間稼ぎ、ただの延命措置なんだろうなとしか思えなかった。
必要痕跡数がもっと少ない、1エリア1探索で完結する、クエストの出現条件に無関係で、あくまでストーリー進行及びモンスター追跡にしか関係しない・・・・・・とかだったら全然評価は違った、かも。
ただ言っておきたいのは、上記はメインクエスト進行で必須になる強制痕跡集めだけの話で、普段のバトルにおける痕跡収集はまったく苦ではなかった。むしろ、それに関しては面白いシステムだと感じている。集めるメリットが多いし、手間じゃないし。
問題は、煩雑で面倒な作業を強制的にやらされるという部分だ。およそ本作の不満点の根底にある共通原因は「強制感」にある。この痕跡集めもやらなければストーリーが進まない以上、やらざるをえない。他の要素にもあるこういった部分が不愉快に思う。
仮に、ストーリー進行上でのこの行為が無かったのならば、痕跡集めは良い部分として私は評価していただろう。雰囲気を演出し、バトルシステム的にも非常にメリットの大きい要素だったから。
しかし、まるでキークエストに特産キノコ50個納品が混ざっているかのような「これがしたくてモンハンやってるわけじゃないんだけどな」と思ってしまう強制痕跡集めを、ポジティブに捉えることはできない。
苦行過ぎるマルチ前提コンテンツ
モンハンって別にソロでやれてもいい、というよりソロのプラスアルファとしてマルチがあったはずだが、導きの地に関してはそれがどうもユーザーと開発間の認識にズレがあるように思えたコンテンツだった。
もちろん導きの地はソロでもできる。だがあまりにもしんどすぎて実際はマルチ専用コンテンツになっている。私は9割ぐらいマルチで進めたが、変に意地をはってソロで進めていたら心が折れていたと思う。
というのも、シンプルにつまらないのだ。
地帯レベル上げとか痕跡集めとか、どれもひとりでやるにはあまりに膨大すぎる仕事量なのもバカバカしい。さらには地帯レベルの調整がなぜか下方にしかできないという意味不明な仕様により、なおさら他人の重要性が大きい。
これらが合わさり最低に見えた。エンドコンテンツはたしかに時間を要するものが常だが、そこに圧倒的な面倒くささが付随したらそんなんもう誰もやらんのよ・・・・・・。
あらゆるオブジェクトの視認性の悪さ
ある種綺麗であること弊害だが、とにかく各種オブジェクトが見にくい。アルバ戦で石ころが見えなかったときは台パンしそうだった(しました)。自分の目が悪いとかじゃなく、シンプルに画質が良すぎて、オブジェクトが背景に溶け込んでしまっている。
導蟲のアクセスによって見つけられる、ということでリアル背景に溶け込む見た目なんだろうが、その導蟲が割とアホなのも辛い。そして戦闘中は無意味になるので、もっと視覚的なわかりやすさを補助する何かが欲しかった(視認性上昇MODが公式で欲しい)。
特にスリンガー関係は戦闘中に急いで拾うことがあるし、そこらへんはもう少し見やすくしてほしかった。全体的に薄く発光するとか、光の柱が立つとか、世界観重視じゃなくそういうところはユーザビリティを重視してほしかった。ミニマップがあるじゃんと言われればそれまでだけど。
結論:深くやらないなら面白い
全体像を俯瞰すると、本作は非常に面白いものだと思う。しかし、細かい部分で「本当に実際プレイしたのか?」と思えてならない不満点が続出する。離れてみると綺麗なのに、寄ってみると汚い・・・・・・そういう感覚に近い。
そもそもつまらなかったらやめてる。やらされてるんじゃなく、自発的にあれこれやってプレイ時間が100を超えてるのだから、そりゃもう事実として面白くないわけがない。総括としては「めっちゃ面白い」というのが本作に対しての印象。ただ、細部が・・・・・・。
聞いた話、当時は当時で発売してから時間が経つごとにしょうもない粗みたいなのが見えてきて、「神ゲーかと思ったら意外と・・・・・・?」なんて疑惑もあったそうだ。実際、私の周囲ではハマってる人もいれば途中離脱した人もいて、どちらかというと後者のほうが多かったように思える。
それはやはり、細かい不満点によるストレスやフラストレーションが楽しさを上回ってしまったからだろう(あるいは、長期化するアップデートについていけなくなったとか)。そして、それがやっかみや重箱の隅をつつくようなものでないことはよく分かる。実際ムカつくゲームではあるし。
そんなわけで、プレイ前、正直言うとあまり期待はしてなかった(とまで言うと失礼だけど)。そういった声をチラホラ聞くし、それがただ怒りに任せたゲハ的な政治主張じゃないことは分かったし。少なくとも「スゴい面白いんだろうな」なんて考えて始めたわけではなかった。
しかし、蓋を開けてみれば意外と(?)面白いゲームではあった。確かにムカつく部分はあるものの、それはそれとして面白い・・・・・・昔のモンハンと同じく、神ゲーとクソゲーが同居している、見た目は変わっても本質は変わらない、ある意味でいつものモンスターハンターだった。
神モンスとクソモンスは何が違うのか
臨界ブラキ、アルバトリオン、ミラボレアス。
これらはまごうことなき神モンスだった。
ナナ、ベリオ、凍てギエナ、クシャル、青レウス。
これらはまごうことなきクソモンスだった。
パッと見、設定的にも印象的にも前者のが強そうだしクソモンスになりがちではと思いそうだが、実はそういうモンスターこそしっかりした動きでクソとは程遠い。むしろ、道中で轢き殺されてそうな凡庸なモンスターにこそクソが詰まっている。
彼らを分けた決定的な差はなにかといえば、行動に悪意があるかどうかなのだ。さらに言えばこちらで改善できる部分が多い戦闘になるかどうかも大きい。終身名誉ゴミカスクソモンスことナナ・テスカトリ。わたしはこいつの中に人間が入っていると感じた。
というのも、「これを押し付ければ絶対に勝てる」というような行動を連発してくる上、やりすぎとも言えるスペックを持っている。小学生が考えた・・・・・・いや小学生でももうちょっとフェアな設定にしてくれると思う。クソモンスの方々には、それぐらい「そりゃ強いに決まってるでしょ」というような要素がこれでもかと詰め込まれていた。
『ディビジョン』でも相当言われたが、有限リソース持ちのプレイヤーに対して、モンスターが「自分はプログラムである」ということを理解して攻めてきたらどうしようもない。負けるわけないし、仮に向こうは負けたとしてもなんの痛手もない。あくまでプログラムのいち個体だし。
ベリオの異様な頭振りもそう、凍てギエナの合流もそう、クシャルの置き竜巻、青レウスの常時滞空も同じこと。そりゃそうしてれば負けないだろう。けどそれでどうすんの? プレイヤーは開発と戦ってんの? これ面白いの?
こういう悪意が感じられると、晴れて彼らにはクソモンスの烙印が押されてしまうわけだ。羅列した行動はプレイヤーが介入できないものがほとんど。これも踏まえると神クソ差が如実に現れることを実感する。
青レウスが飛ぶのは別にいいけどじゃあ閃光耐性どうにかしてくれ。閃光耐性があるんだったらじゃあ飛行頻度落としてくれ。なんも面白くないんだわ。
つくづく思うのは、ソロで開発がプレイして「いいじゃん!! めっちゃ面白い!! コレで行こう!!」となったのかということ。クシャルの置き竜巻妨害が至高の時間だと思う人は、果たしてこの世にいるんだろうか。
つまるところ「クソ」と見なされてしまう一番の原因は「つまらないこと」なのだ。
「強いからクソ」ということは基本ない。手も足も出ずに爆破即死させられた臨界ブラキも、エスカトンの弱体が間に合わず溶けたアルバも、バカ威力のブレスで消し炭にされたミラも、「強いけど楽しい」と思ったのだ。
楽しいからこそ何度負けても次はこうしてみよう、ここを改善しようと思い、そしてそのたびに負け、やがて勝った。ミラボレアスを討伐したその時の嬉しさは今でもありありと思い出せるし、そしてこれからも忘れることはないと思う。
でも個体の強さにかかわらず、つまらないものは本当に気が滅入る。弱くてつまらないならまだいい、ネタにできる。しかしなまじ強くて(理不尽で)つまらないモンスターはゲームそのものへの愛着が揺れるまである。
少し話は戻るが、導きの地も同じことで、難易度の高さや作業量の多さが問題なのではない。その仕様や取り巻くもののめんどくささ、総称して「つまらなさ」が重要なのだ。
それらクソへの対抗手段はたったひとつで、マルチプレイしかない。そう考えると「導きの地はぜひマルチで」という開発の思いは、すでにこのコンテンツがつまらないことを自覚してた故の意思だったのかもしれない。
自分が使ってきた装備について
もしかしたら「今からやろうかな」とか思う人もいるかもしれないので参考程度に、クリアまで使用していた装備を掲載しておく。その時点で使っていた構成そのままなため、最適な装飾品や武具ではないことを前提に。また、すべてスラアクの使用を想定している。
装備を適当に検索すると、見事に「最終装備」だの「最強装備」しか出て来ない辛さがある。なんでマスター序盤でミラボレアス装備をおすすめされるのかが全く理解できない。つよつよSEOで検索トップに表示されるのなら、もっとまともな情報(進行度に寄り添った装備)を掲載してほしい。
武器の流れは、凍てギエナまで防衛隊(その時点での最大強化)→ディオススラッシャーⅡ→臨界ブラキ→アルバ対策に氷刃ベリオ→アルバ→ミラボレアス、という感じ。必要最低限の生産装備でこなしていった。防具はとりあえずマスター入るまでは防衛隊でなんとかなる。
▼マスター序盤
マスター防具は防御力が急上昇するので、多少スキルがカスだとしてもすぐ上位装備から着替えるのがおすすめ。とは言え防衛隊装備で来た人は惜しむスキルも無いと思うけど。
▼凍てギエナ後
クリアまで気合で乗り切ったが、今となってはもっと汎用的な快適スキルを積んだほうが絶対に良いと感じる。まず必要なのは強化持続、体力増強、回避距離、回避性能。これらをほぼマックスまで積んでから整備とか火力スキルを組み込むと格段に楽になる。
▼クリア後
スキル構成について言えることは上と同じ。匠の護石を回避距離のやつにするだけで劇的に違う。マジで違う。
▼臨界ブラキ後
理想構成ができなくてもじゅうぶんにカブカカブは強い。ドラゴン装備ができるまでしばらくコレだった。
▼睡眠壁当て
導き専用。素材集め用の壁ドン装備。人数の関係上、どうせ火力は足りるので問題ない。それよりも、より多くの素材を回収できる方が大切。
▼鳴神周回
バウンティ消化ついでにやってた鳴神の周回装備。滅日マルチに慣れたらもうこんなゴミカスクエストやらん。気絶耐性、整備5は必須。古代樹の森って戦えば戦うほどうんこだなと思う。
▼滅日周回
多少火力を削ってでも幸運を入れる。き、寄生じゃないもん!
▼対アルバトリオン
とにかく属性偏重でエスカトン弱体を狙う。角破壊を容易にするために破壊王を積んでも良いかも。属性やられ耐性、強化持続、回避性能、回避距離は人権。あるならマム武器が良い。
▼ミラボレアス開幕
いわゆる隠れ身砲術専用。生存スキルとか一切いらない、とにかく火力。
▼対ミラボレアス
開幕の儀式が終わったらコレ。基本は第一、第二フェーズで頭を完全破壊。
最終フェーズほぼ全部、兵器使用時、全フェーズにおける這いずり時でパンパンのために整備5。
最後に
加点法だと90点ぐらいの優等生だが、減点法だとマイナス5億点とかになるゲームだと思う。面白いのは間違いないが、そこかしこに理解不能なうんこがある。どうしてこうなんでしょうね、という部分があまりに多い。
私は感想を書く場合、どちらかに偏りたくはないという気持ちがある。だからこういったものを書く時は、悪いところを3つ挙げたら良いところも3つ挙げたい。もちろん「なるべく」という努力目標ではあるが・・・・・・。
しかし、本作は悪い部分が圧倒的に目立ってしょうがないゲームで、実を言うとこの記事も当初は批判的な内容ばかり筆が進んだ。これでもかなり削って、そして無理やり良い部分を付け足したに過ぎない。困った。
実際、他の感想や反応を見ると良い悪いの割合が真面目に3:7ぐらいだ。良い部分はグラフィックぐらいで、ウォークスルーにおける悪い部分が超書いてある。やっぱり、そういうゲームなんだろう。
私も悪い点ばかりを情熱こめて書いてしまったが、別に誹謗中傷する意図は無い。どうしてこうなの・・・・・・と思う部分を羅列したらこうなった。なんだろうな・・・・・・どうしてこうなんだろうな・・・・・・というのが本当に目に余る。ものすごく面白いゲームではあるんだけど、って作品だ。
ただ、いずれにせよ楽しかったのは間違いない。苦痛や苦難もまた良い思い出だ。やったことは後悔してないし、これまでの180時間は大切な記憶として残り続けるだろう。それをシメとして、一度本作を区切ろうと思う。
最後に、配信に付き合ってくれた方々に感謝を。ほぼ投げかけたナナ、7割ぐらいキレながらやっていたアルバなど、見ていて必ずしも楽しい配信じゃなかったかもしれない。しかしそれでもコメントやアドバイスなど送ってくれた方々、本当にありがとうございました!!