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子どもを産む産まないの選択


結婚することや子どもをもつということは、
女性にとって「幸せ」と世間的には言われるが、
どうしても自分はそう思えなかった。


「自分の母親が、まったく幸せそうにしていなかった。」


理由はこれにつきる。
親を見て、結婚や子どもをもつという選択に、
「あこがれ」というものがなかったのである。

うちの母親は、当時では珍しい共働きで、
さらに祖父母の介護をみながら、家事をし、子育てをしていた。
父親はそれにまったく関与しない状態。
本当に母はしんどかったと思うし、
私は同じようになりたくないと思っていた。

社会人になって。
親からの「早く結婚しろ」がうるさかった。
娘の幸せのためというか、どちらかというと世間体のためだろう。

「あんた将来どうすんのよ!」
「年とった時困るで!」
などなど言われた。

しかし、とくに可愛くも美人でもない私はモテなかったので、
婚活してまで結婚したいという気持ちになれず、
自分の好きなこと探しにあけくれていた。


27歳になってテニスと出会う
なかなか感情が自分で出せなかった性格なのだが、
テニスをすることで自分の感情を出すことができ、
新しい自分を発見することができた。
さらにたくさんの人と出会え、
それはひっこみじあんな自分にとっては新しい世界だった。
楽しすぎるおかげで、毎日毎日テニスにあけくれていた。
さらに今期が遅れる。

ありがたいことに
テニスきっかけで知り合った当時の彼氏(今の旦那)と付き合い、
一人でいるより二人でいる方が楽しいということに気が付き、
結婚をする。

そして子どもに関してだが、
旦那は欲があまりない人で、子ども有り無しはどちらでもよかったようで。
選択は私に投げられていた。


結婚したのは33歳。
31歳で脳腫瘍をわずらったのもあって、婚期は遅い方だと思う。
そして子どもは、できたらできたらでそれでいいね~という形で、
私は選択権を神にゆだねていた。
しかし、自分なりにタイミングをとったりしても、
まったく妊娠にいたらなかったのである。


自然に恵まれないのなら、不妊治療ということになるが、
不妊治療をしてまで子どもが欲しいか…?
多額のお金をかけてまで、時間をかけてまで、痛い治療をしてまで、
自分は欲しいのか…?
よくわからなくなった。

子どもがいるとお金がかかる。時間がとられる。
可愛くも美人でもない私の遺伝子を持った子どもを愛せるのか。
子どものいるデミリットしか考えられなかった。

そんな中、親が「周りの子は皆子どもを産んでる」のうるさい攻撃。
私は、どうしても「世間体のために子どもを産む」という理由に
理解できなかった。


なぜ子供を産んだのか、いろいろな人に聞いてみた。
「子どもは可愛い」
「子どもを産むのは人間として当たり前」
「年取った時にどうするの」
「自然にできた」
というセリフ。

子どもがかわいいと思っても、責任感を持って産み育てる自信があるわけでもないし、
当たり前という言葉から来る「世間体」のために産むのは違うと思うし、
年取った時の将来のためなんて、完全に自分のエゴじゃないか。
どうしても腑に落ちなかった。


本当にいろいろな世代の人の話を聞いた。
自分がしっくり来たのはこのあたり。

「たとえば自分が料理下手だったら、
 それを子どもに手伝ってもらったりできる。
 助け合える関係っていいよね。」

「プロのテニスプレーヤーになるのがこの子の夢。
 そして自分の夢。この子が目指すものを自分は叶えさせたい。」

こういう関係性の親子っていいなって思った。
自分の親との関係は、結構ほったらかしで育ったのもあって、
それを見本に同じような人生を私は歩みたくないと思ったが、
親とは違う「なりたい親子像」を目指す人生っていいなと思った。

自分の親しか知らないから、
親の人生を見本にしてしまうが、
そうじゃない。人生それだけじゃない。
自分の人生なのだから、
自分が「なりたい自分」になるために生きるにはどうすればいいだろう…という考えにシフトした。


子どもがいたらしたいこと。
「一緒にテニスの試合が出たい」
「我が子がどんな子になるのか見てみたい」
「出産・育児を一度体験してみたい。
 経験することで知らない世界が広がる。
 本当に人生が豊かになるかどうか自分自身の体験をもって知りたい。」

と考えた。


あと、ネット上で知り合った人からの言葉が大きかった。
「欲しくない靴に、そんなに悩まないよ」って言われた。
つまりこんなに悩んでいるのは、
心の底で「子どもがほしい自分」がいるんだなって。

理性では「子どもはお金がかかるし、大変だし、この世に生まれてくるのはかわいそう」であるが、
本能では「欲しい」んだと。
その「欲しい理由」をずっと探していたんだな~って。

理由がなかなか見つからなかったけど、
自分が人生どう生きたいかを考えるきっかけになった。


子どものいない人生も楽しいんだろうけど、
自分は自分の子どもに会いたい
テニスでたくさんの人に出会ったけど、
この世の中で一番会いたいのは我が子だと気が付いた。

そしてたくさんの人と出会うことで自分は変われた。
同じように、私の子どもが自分にどんな影響を与えてくれるんだろうか。
そう考えると、これから先の人生がとても楽しく思えた。


貧乏だったり、不景気だったり、
自分がしたいことが簡単にできない環境で、
自分の本当に好きなことや、やりたいことがわからなくなっている現状。
でもそのなかで、
自分がしたいことって何だろうって考えるいいきっかけになった。

自分は、我が子をもちたい。
この子を育てて、新しい世界を見てみたい。
私が、たくさんの人と関わることによって変われた、
この子も、だれかのために影響を与えられる人になるんだろうか。
それを身近で見てみたい。


そう思って不妊治療を決意したっていう話でした。



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