優等生、不登校になる
高校3年の夏から、私は学校に行けなくなった。
理由は、当時交際していた先生から別れを切り出されたからだった。
先生と付き合い始めたのは、高2の10月。
異性と交際したのは初めて。
当時の私は、県内ではトップクラスの進学校に通い、そして学年でも上位の成績を収めるいわゆる『優等生』だった。友達がいないではなく、部活動も楽しくないわけではないけれど、いまいち周囲に馴染めている感覚だったり、受け入れられている感覚が薄かった。
先生の立場も考えながら振る舞う大人びた優等生である一方、内心では、高校生活に張り合いを感じず、漠然とした寂しさを感じているような高校生だった。
先生は、付き合い始めた当初、既婚者だった。
子どもはおらず、夫婦仲は冷めていると言って、私の存在の有無にかかわらず、離婚するつもりだと言っていた。
よくある不倫話としては、結局男性既婚者は離婚しないというバッドエンドがある。けれど、先生の場合は、本当に離婚した。
高2の3月頃だった。
先生からは、付き合い始めた最初から、
『結婚しよう』
そう言われていた。
結婚することを前提に、どんな家庭生活を送るのか、どんな風に過ごすのか、今考えれば夢、空想ばかりを並べる会話をよくしていた。
17歳の世間知らずな私は、先生の言うことは全て本当になると思っていた。
孤独感を抱える自分にとって、先生から、私という存在自体を受け入れられること、掛け値なしで関心を向けてもらえることは、この上ない喜びだった。
自分の人生に欠けていたピースはこれだったんだと、そして、この幸せは、これからもずっと死ぬまで続くのだと、そう信じて疑わなかった。
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