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赤ちゃんと救急車🚑🚒✨
どうも!👨🚒✨
救急救命士のAPO隊長です👏
救急隊が遭遇する災害現場は、病気からケガまでとても幅広いです。一つ一つに対する知識や技術の深みも大切なんですが、「様々な分野に対応できる」というのも大切な要素です。
その中でも、頻度の少ない症例については、学習も疎かになりが地です。例えば、熱傷という分野。小児という分野(救急要請は多いが、同じパターンが多い)。妊娠関連などがあります。
症例数が少ないので、計画的に学習していかなければならないのですが、当然症例が少ない以上、出動経験も少ないわけで、その少ない経験の中からできるだけ多くの学びを得なければならないのですね。
今回は、妊娠関連について勉強しましたので報告します。
こんなことを書きました👩🚒!
1、病院前に生まれる児は、通常より命の危険にさらされやすい
2、救急隊は分娩に関わる対応をするが、研修のチャンスは少ない
3、低体温症が60%もある。
4、分娩場所は自宅、救急車内、そして自家用車の中
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspnm/57/1/57_43/_pdf/-char/ja
1、病院前に生まれる児は、命の危険にさらされやすい
これまでの報告によれば、病院前に生まれた新生児の9割は、心肺蘇生法などの高度な蘇生を要さずに救命されています。だからほとんどは元気な赤ちゃんとして生まれてくるわけですね。しかしその一方で、病院前に生まれた赤ちゃんは、病院などの分娩施設で生まれた場合と比較して、死亡率が高いことがわかっています。病院前に出生した赤ちゃんの死亡率は4.7%と報告(平成30年人口動態統計)されていますが、日本全体としては0.9%なので、実に50倍といったところでしょうか。
しかしながら救急隊の対応が悪いとは一概には言えません。突然の出産はリスクを伴うものであり、例えば未受診妊婦もこの中に含まれているからです。ただ、そのような状況も含めた上になりますが、救急隊が関わっていることも事実なので、当然無視できない事実ですね。
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2、救急隊は分娩に関わる対応をするが、研修のチャンスは少ない
救急救命士は、資格を取った後、病院実習を行います。ここで一通りの救急隊が行う医療行為やたくさんの患者さんに触れるこができるんですが、分娩に関しては非常に研修が難しいのが特徴です。非常にデリケートな分野ですからね。産婦人科の実習立ち会いをお願いしたことはありますが、私が実習した病院では、普通に断れられてしまいました。無理もないです。
このように、実習で赤ちゃんを取り上げるところを見学したり、分娩のお手伝いをさせてもらうようなことができない以上、僕たち救急救命士は、いわゆるぶっつけ本番となってしまうわけです。しかもそのような状況で、ハイリスクな出産に対応することになるわけですからね、、、。
実習機会もないし、実際に出動する症例も少ない。それではどうするかということで、NCPRやBLSOといったシミュレーション教育を行っているのが現状のようです。
もちろん僕はインストラクターですよ!
3、低体温症が60%もある。
低体温については、かなり高い確率で発生しているようです。「新生児といえば低体温に注意!」と習いますし、現場でもバスタオルやアルミシート、毛布をフル活用して保温していると思います。それなのに60%とは・・・。
BLSOで指導していて感じることは、以下のようなケースが原因ではないかと考えています。
⑴赤ちゃんの濡れた体を十分に拭き取ったが、その濡れたタオルで保温を続けた。
⑵体表面積の大きな「頭」を保温していない。
赤ちゃんの低体温は、合併症や死亡のリスク因子になってしまいます。保温については、保温の具体的な方法や、救急車内の温度など、課題と改善点を見つける必要がありそうですね。
生まれた時の気温とか関係あるのかなーって思いましたが、以下のグラフを見ると、関係なさそうですね。
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4、分娩場所は自宅、救急車内、そして自家用車の中
次に、救急隊が対応する分娩の場所についてです。個人的に盲点だったのが、「救急車内で産まれること」は「自宅」と同じくらいあり、「自家用車」の中で出産することもあるという点でした。消防署の訓練では、自宅を想定した訓練が最も多いです。当然訓練のやりやすさもありますが、自宅内で生まれるケースが最も多いと思っていたからです。
一つの施設のデータではありますが、これは訓練を企画する僕として非常に重要な気づきを与えてくれました。自宅と救急車の中では、当然処置のやり方も変わってくるし、立ち位置も重要です。ましてや自家用車の中で出産ということであれば、完全にアウェイですから。まずは車内収容といった形になるのかもしれませんね。
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今回は、救急隊の関わる分娩、出産について勉強してみました。
救急隊はいつも悲しい現場ばかりです。
でも唯一笑顔が見れる現場って、この分娩なんですよね。僕も経験したことはありますが、あんなに「おめでとう!!✨」を連呼してことは未だかつてありません笑
笑顔な現場を悲しい出来事にしないように、救急救命士としてもっと成長していきたいと思います。
まとめ
それでは、まとめです👩🚒✋✨
1、病院前に生まれる児は、通常より命の危険にさらされやすい
2、救急隊は分娩に関わる対応をするが、研修のチャンスは少ない3、低体温症が60%もある。
4、分娩場所は自宅、救急車内、そして自家用車の中
今日は、この3点でした。
救急隊としては、今一度、分娩について学習、訓練をしましょう。
注目すべきは低体温です。どのような方法が良いのか検証してみてはどうでしょうか。「頭の保温」と「濡れたタオルで赤ちゃんを包まない」ここ重要ですよ。
後は訓練のシチュエーションです。自宅想定ばかりではダメですよ。救急車内はもちろん、自家用車内で出産した症例も訓練にぜひ組み込んでみてくださいね!
ではまた👩🚒✋✨
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