人類やり直し装置/岡田淳
企み欺き憎しみ争う、
いつの時代も人類は愚かしい事をして来たけれど
現代はなおいっそう暗愚に踊る。
気の落ちた日は、
新聞でも悪いニュースばかりを拾ってしまうのは当然だけれど、仕事がひと段落着いてふとみたスマホの類でも、こんなに進歩してなお石器時代よりなおいっそう争いの絶えないこの世界に嫌気がさす。
ならいっそ、人類、やり直してみる?
博士と助手は、小高い丘の上、いや、山の上でふたり、さまざまな研究に邁進している。
その日博士が思いついたのは、
すべてを「花と緑」にして、平和な世界を取り戻す、人類やり直し装置を作ること!
全財産を投じて
研究に没頭すれば博士、
一方で助手は「花と緑」になったら困るものを思いついてゾッとしてしまう。
例えば、土。例えば、水。
博士から「花と緑にしないものを見つける係」に任命された助手は、あれこれ頭を悩ませて、寝る間も惜しんで考える、この世になきゃいけないものをかんがえる。
そうしてとうとう、
装置のスイッチを押す朝が来て……。
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岡田さん特有の仕掛けと、
愛らしい絵がそこかしこにあって、
ドタバタコメディなのに、読み終わればずんと考えこんでしまう。そんな1冊。
この世に必要なものってなんだっけ?
なにが平和なんだっけ?
なくして初めて考える、
犠牲をもって初めて気づく。
構造としては川村元気さんの世界から猫が消えたならと同じだけれど、もっとダイレクトに、あれ?なんだっけ?って思う。
人類って必要だっけ?
なんてね。
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