身体は柔らかい方がいい?
こんにちは!
ストレングス&コンディショニングコーチでありムーブメントコーチの山越です!
アスリートや一般の方を指導しているとよく聞かれること、として
「筋力ってあった方がいいの?」
と聞かれることがよくあり、それに対する私見を書きました。
前回記事
↓↓↓↓↓
今回はそれと同じくらいよく聞かれることについて、私見を書きたいと思います。
よく聞かれること、それは
「身体って柔らかい方がいいの?」
です。
これを解説する前に、僕らの専門用語の中に
「柔軟性」
「可動域」
という二つの似た意味を持つ言葉があります。
これについて、先に解説をしていきたいと思います。
柔軟性と可動域
柔軟性→関節がその可動範囲を動く能力。
可動域→関節を生理学的に動かすことのできる範囲。
と、ウイダーのトレーニング用語辞典には記載されています。
もっと私なりに砕けた言い方にしてしまいます。
柔軟性→その関節が動ける範囲。
可動域→自分でコントロールして動かせる関節の範囲。
と捉えてもらって大きくズレはしないと思います。
ちなみに可動域は関節可動域とも表現され、英語でRange of Motion=ROMと書かれます。
そして自発的に動かせるROMのことをActive ROM=AROM、他動=他人の手を借りて動かすことができるROMのことをPassive ROM=PROMと言います。
このPROMの方は、AROMより先にあげた柔軟性に近い可動範囲を持っていると考えます。
例を一つ挙げてみましょう。
リラックスした開脚のストレッチでは180度まで脚を開くことが出来る(=柔軟性)けど、片脚立ちでの開脚は120度くらいしか開かない。(=AROM)
と、言葉の理解をこの辺にしておき、今回のタイトルに戻りましょう。
「身体って柔らかい方がいいの?」
今回はこの問いかけを
「可動域って広い方がいいの?」
て言葉に置き換えてみます。
可動域は広い方がいいか?=自分でコントロールして動かせる関節の範囲は大きい方がいいか?という問いになります。
コントロールして身体を動かす行為は日常の中に溢れています。
歩く、走る、階段を昇る、上のものを取る、しゃがんで物を持ち上げる、などなど、要は日常動作は全てコントロールして身体を動かしているというふうに捉えて構わないでしょう。
ただ、これを本当に1から100まで全部動きを意識して行っているかというとそうではないですよね?
もしそういう動き方をしていたら相当動きがぎこちなく見えるはずです。
日常的な動きは感覚的には無意識に行われています。
関節を動かす筋肉に指令を出す脳が身体全体の動きを調節してくれているからです。
この脳の働きにより、筋肉は力加減が制御されて滑らかに動くことが出来るのです。
ただし、この日常的な動作も、スポーツの競技動作も関節可動域が狭いと影響を受けます。
どんな影響を受けるか?
例えば歩行。
真っ直ぐ立った状態をベースにして、正常な歩行では股関節が前に60度、後に30度ほど動きます。
※超大雑把に書いたので細かいのはこちらの記事を参照してください。
↓↓↓↓↓
股関節が前に動くこと、要は腿が前に動くことを解剖学用語で屈曲、腿が後ろに動くことを伸展、と言います。
ここで、股関節の屈曲伸展の参考可動域を見てみましょう。
※参考可動域→この範囲だったら一般に人は動かせるよ、っていう可動域です。
股関節の屈曲の参考可動域は125度
股関節の伸展の参考可動域は15度
とされています。
↓↓↓↓↓
https://www.japanpt.or.jp/upload/jspt/obj/files/publiccomment/4_rom_20140612.pdf
※ここで、「え?じゃあ歩行時って股関節の可動域が大体30度必要ならそもそも参考可動域超えちゃってんじゃん!」
て考えることもあると思うのですが、そもそも歩行って単純に股関節の屈曲伸展だけでなく脊柱の回旋、骨盤の回旋、股関節の内旋・外旋、内転・外転といった様々な動きが絡まり合っているので純粋な股関節の屈曲伸展だけの動きじゃないんですよね。
横から見たときに屈曲と伸展の動きが見やすいので便宜上その動きの可動域だけを見ているって言った感じです。
で、話を戻して。
①歩行で例えます。
もし、股関節のAROMが120度なのであれば、歩行で必要とされる股関節屈曲の可動域は全然クリアしているので全く問題なく歩けると思います。
これが、腿裏、臀筋が硬い、とか股関節の屈曲筋群が弱い、とか背筋が硬い、とかでAROMが60度だったとします。
そうなると歩行に必要な股関節の可動域が60度で自分のAROMも60度ということになります。
どうでしょう。
「なんか毎歩全力出しまくっている。」
て感じになりますよね。
つまりは毎回筋肉や関節に負担がかかっているし、エネルギー効率も悪いです。
トレーニングでも例えてみましょう。
②スクワットで例えます。
重りを持たなければ腰が膝よりも低く、腿裏とふくらはぎがくっつくまでしゃがめるフルスクワットが出来る人にとって、腰と膝が同じ高さになるまでしゃがむパラレルスクワットを行うことは何の造作もないことです。
重りを持ったスクワットでも正しく訓練を重ねていけば無理なく筋力の向上をしていくと思います。
しかしこれが、いろんな要因があって(足首、膝、股関節のどれか、もしくは全部が曲がらない、姿勢がキープできない、肩甲骨が寄せられないなどなど)いわゆるウェイトトレーニングで行うようなスクワットでギリギリパラレルスクワットまでしかしゃがめない人にとってはフルスクワットは超難関なのです。
そもそもそこまでしゃがめない、もしくはものすごく頑張ってしゃがめるんだけどエネルギー消費が半端ない。
こういうことになりかねないんですね。
結論
可動域は広いに越したことはない。その方がスポーツをするにも日常動作を行うにも身体への負担が少ない。
そして、可動域を上げるためには
・ベーシックなウェイトトレーニングをレベルに合わせた負荷で持てる可動域をちょっと超えるくらいの範囲で行う
・単独の筋肉の活性を狙ったコレクティブエクササイズを行う
・特定の筋肉の柔軟性を上げるためのストレッチを行う
などが挙げられます。もちろん全部ただしいフォームで行ってください。
やり方が分からない場合やしっかり教えてほしい場合はパーソナルトレーナーにお願いしましょう。
慢性的な不調を解消できるだけでなく、健康的、より高いパフォーマンスで動ける身体を手に入れるためになら身体への投資は全然高くないと思いますよ。
頻度は人によりますが、マッサージや整体で身体のメンテナンスをする感覚でパーソナルトレーニングを受けてもいいくらいだと思っています。
では。
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