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【ノルウェー銃乱射事件】単独犯としては史上最悪のテロリスト【白人至上主義者】

一人で銃乱射して69名死亡とかあり得ない。しかもノルウェーって安全な国だと思ってたのに。 


ノルウェー連続テロ事件

 
 2011年7月22日、首都で行政機関の庁舎(首相府付近)が爆破され300メートル四方の窓が破壊された。続いてオスロ近郊のウトヤ島で銃乱射事件が発生した。 

庁舎爆破事件により8人、銃乱射事件により史上最悪の69人がそれぞれ死亡しており、両事件で77人が死亡し200人以上負傷、単独犯による前代未聞の大量殺人となった。

         

容疑者

 アンネシュ・ベーリング・ブレイビク(32)、オスロ生まれのノルウェー人。

 右翼思想、キリスト教原理主義者、テンプル騎士団の一員を名乗り、ナチスに傾倒、趣味はボディー・ビルディングとフリーメイソンリー。1999年から2004年まで、移民反対の進歩党に所属。イスラム過激派に触発された可能性もある。

 ※テンプル騎士団は1119年、第1次十字軍がイスラム教徒から聖地エルサレムを奪還したのち帰国してしまったことから、巡礼者の保護を目的として創設された。軍事力だけでなく、経済面でもかなりの力を発揮し、その勢力はヨーロッパから中東までの広大な範囲に及んでいた。14世紀初頭、騎士団の資産を狙ったフランス王フィリップ四世の謀略によって壊滅状態となり、1312年教皇庁による異端裁判で正式に解体された。 

家族

 母親は看護師、父親は経済学者であり外交官でロンドンやパリに駐在した。両親は1才の時離婚し、母親が親権を得た。母親、異父姉と共にオスロで暮らす。フランス駐在中の父親には定期的に会いに行ったが、16歳からは父親とは絶縁状態、異父姉はカリフォルニアへ移住。そこからは母親と2人暮らし。 


仕事

 大学は中退。 

19才の時、200万クローネを株式投資の失敗で失う(約3000~4000万円程度)。

 21才の時、顧客サービスの仕事に就き、移民労働者と共に働く。ウエイトトレーニングに時間を費やすようになり、筋肉増強のためのステロイドを使い始めた。 

コンピュータープログラミングや偽造卒業証書の販売などのネットビジネスや株取引で数千万円稼ぐ。 

法廷で裁判官から職業を問われると「作家です」と答えた。 

事件の経緯

 ノルウェーは移民を多く受け入れその数全体の約14%を占めるが、反対の声も拡大している。その時ウトヤ島ではノルウェーの最大政党・労働党(社会民主主義)の青年部企画のサマーキャンプに10代と20代を中心として600人余りが参加していた。移民の受け入れに寛容な政党が標的とされた。警察官の制服を着て政府庁舎爆破事件直後に車を運転しウトヤ島の近くまで行ってから船で島に渡り、爆破テロ捜査を口実に皆が集まるよう言い、午後5時頃より1時間以上に渡り銃を乱射した。倒れても確実に殺せるように各人2発ずつ撃ち込み、体内で破裂する弾を使った。銃に大量の弾丸が残っていたが逮捕には抵抗しなかった。容疑者は、「ヨーロッパをイスラム侵略から守る」を動機として「反多文化主義」の為の正当防衛であり「残酷だが、必要な措置だった」など、無罪を主張。公判では被告の精神状態、責任能力の有無が最大の争点となった、収監されず精神病院へ送られるべきかどうか。オスロ司法裁判所は禁固21年の有罪判決を言い渡したが、無期限の延長も可能。これはノルウェーにおける最高刑に当たる。本人に罪の意識なし。 


武器

 準備に2年以上かけている。

 爆弾の材料となる、化学物質や肥料を怪しまれずに入手する為、鉱山会社や農場と契約を結ぶ。

 爆弾の材料である硝酸ナトリウム300グラム、硝酸アルミニウム900キロ、3トンの硝酸アンモニウムおよびの硝酸カルシウムアンモニウム、肥料6トンなどを随時購入し大量に納屋に保管し、ANFO爆薬(肥料と燃料油の混合物)を使用した爆弾をネットで調べ自作。車爆弾の重さは約950キロと推定される。 

 合法的に入手した9mm口径のグロック・セミオートマティックとルーガーMini-14ライフル。 

マニフェスト

 テロ犯行の約2時間前、自身の思想を1516ページに綴った「2083: ヨーロッパ独立宣言」をネット上に残した。 

待遇

 ノルウェーには死刑制度がない。刑務所というのは、罰する場所ではなく、社会復帰のためのリハビリを行う場所という考え方であり、これを変えることはテロに屈したことになる。 

刑務所では寝室や学習室、トレーニング室など3部屋が与えられている。新聞、テレビ、オフラインのパソコン、プレステ2なども支給。キッチン、ランニングマシンとクロストレーナーも設置。 

オスロ大学政治学科への通信制による入学許可。 

彼は他の受刑者たちから隔離され収監されていることなどが人権侵害だとして処遇改善を求めて国を提訴した。オスロ地方裁判所は、長期的隔離、定期的な裸体検査、苦情申請の権利制限などが欧州人権条約の第3条違反に当たり「非人道的で屈辱的な処遇の禁止は、民主主義社会の基本的な価値」として訴えの一部を認め政府に訴訟費用33万クローネ(約440万円)の支払いを命じる判決を下した。しかし最高裁はその訴えを退けた。
 


まとめ

 犯人がコスプレのように様々な制服やスーツに身を纏いポーズを決める姿は、本来そうあるべき筈だったように、現実から乖離した優越意識をなぞっているのだろう。犠牲者77名の名前が読み上げられても表情ひとつ変えなかったが、反イスラム主義を表す自作のビデオが法廷で映されると涙を流したという。疎外感を募らせその原因を古くからの社会の在り方を変えてしまう存在へと擦り付けた。イスラム教徒、マルクス主義者、多文化主義者、フェミニストの女性などに。彼は、日本と韓国は家父長制が残っており、単一民族、文化を堅持し、移民に排他的なのを、「ヨーロッパが日本や韓国のようになるのが見たい」「日本と韓国は保守主義や民族主義に近く、女性が従順だ」とほめる。実行犯は一人だけだったのかもしれない。超然とした佇まいからは、違う世界にいるかのようで重大なものが欠落していると感じる。しかし、ネット上には賛同する人たちが沢山いるのだ。彼が受け取る手紙は年間800通以上にもなる。北欧のように平和に見える地域でも、このように不満を持った分子が確実に潜在していると世に知らしめた点において恐怖を覚える、自由主義の民主国家のなかにも石のように硬直した心が見出される。抵抗勢力は一筋縄にはいかない。 




Netflix映画『7月22日/22 July』(2018・アメリカ)

 ノルウェーで発生した連続テロの犯人像と、事件に巻き込まれた一人の青年を相対させることでその社会背景が見えてくる。明確な意図と計画に基づいた犯行。 

精神病なのか確信犯なのか判断できない程冷たい表情を浮かべている。人を殺した後でも、それで批判に晒されても、人前に出ても、何の感情の乱れもなく、食べたり笑ったり話したりしている様は全く非人間的。理解力の不足に気づかない故の過剰な自信には閉口させられる。

ノルウェーは人権先進国、独房はホテルのようで、諸々の権利もきちんと保障されているようだ。それと対比してこのような凶悪犯罪に対し、取り締まりや罰則等に無防備な印象も受ける。治安が良く、移民に理解のある環境でこのような事件が起こるということは、世界中どこにも安住の地はないような気になる。ノルウェーでは銃の愛好家は多いが銃犯罪は少ない。事件を受け狩猟用以外の、半自動小銃は禁止。

 ※俳優には英語を話せるノルウェー人を起用した

監督:ポール・グリーングラス 



映画『ウトヤ島、7月22日/Utøya: July 22』(2018・ノルウェー)

 この日ノルウェーは2つのテロ攻撃を受けた。3時17分まずオスロの政府庁舎で車爆弾が爆発。その後5時6分から72分間にわたり、オスロから40キロ離れたウトヤ島で銃乱射事件が発生した。合わせて77名が死亡し99名が重傷を負った。 

ある政治家志望の少女カヤという人物を通じてそれの心情の起伏が伝えられる。何が起きているのかいつまで続くのか分からない恐怖で、パニック状態になっている姿はただただ痛々しい。予想のできない事態に際しなす術はなく苛立たしい。大勢で目立つ建物内に密集していたり最中に人のことを探し回っている様子はまともではない、電話をしたり歌ったりしているのも間が悪いだけ。 

日頃訓練していない情緒を安定させられない人間が、右往左往してみても、結局あのような結末が待っているのだろう。 

犯人はその攻撃を(神の)審判の日への警告だと主張した。もし労働党が政策を変更しなければ、犯人はまた同じことをすると法廷で述べた。 

事件調査委員会は、政府庁舎への攻撃は防ぐことができたとして、当局がウトヤの人々を助けることに失敗し、また緊急事態に対する対策をきちんとしてこなかったと結論づけた。

 人物や設定はフィクションながら、当時現場にいた大勢の人たちの詳細な話に基づいて制作されており、実際の防犯カメラ映像の挿入や、全編のうち銃撃の続いた72分間をワンカットで映像化していたり、それをイメージさせる準記録映画。 

ヨーロッパと西側諸国では極右の過激主義が増している。テロリストの「誰が敵なのか」についての考えは生き残り、そのような見解は台頭しつつあるとのこと。

監督:エリック・ポッペ


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