グリーンバックに、牛を発見!【STUDIO302】 壁面制作プロセス公開
こんにちは。東京アートポイント計画 プログラムオフィサーの村上です。
先月、アーツカウンシル東京の拠点として活用しているROOM302の一角に誕生したオンライン収録・配信スタジオ「STUDIO302」。スタジオ開設に合わせ、ROOM302の壁面もリニューアルすることになりました。
今回は、そのリニューアルの様子を、写真盛りだくさんでご紹介いたします!
BEFORE
AFTER
今回のリニューアルを手がけたのは東京アートポイント計画のプロジェクトにも何度か関わっていただいている、美術家 関川航平さん。
ROOM302向かって左側には大きな緑の牛の壁画。右側はごあいさつ文や、来場者がSTUDIO302で配信された動画やアーツカウンシル東京のイベント情報をキャッチすることが出来る、インフォメーション面に。
全体は、グリーンを基調とした色味でまとめられています。
グリーンバックの牛…!?
そもそも、なぜスタジオ302に牛が描かれたのでしょうか?
制作者である関川さんは「オンラインへの(一時的な)引っ越し」を、意図しています。
関川さんはまずはじめに、スタジオの部屋番号である「302」から、インターネットのステータスコードの一つで「サイトURL変更の際の転送処理」を示す「302リダイレクト」を連想したようです。
サイトのURLの場所が変わった時に表示されるステータスコードで代表的なものに「301」と「302」があるのですが、「301」は完全にサイトが移転したことを示す番号で、「302」は一時的な引越しを示す番号になっています。
メンテナンス中などの一時的な引越しを示す「302リダイレクト」と、コロナウイルスの影響によりこれまでのようにアートプロジェクトを展開することが難しい状況の中、オンラインに場所を移して活路を開こうとする「STUDIO302」のあり方が偶然にも重なる部分がありました。
そこから考えを進めて、オンラインとオフラインのそれぞれの要素を併せ持つ壁面としてデザインしたいということで、オンラインの要素として映像撮影などの背景として使われる「グリーンバック」というモチーフを、そしてオフラインの要素として、ラスコーの壁画から着想して「牛」をモチーフとして選びました。
グリーンバックというものは通常の使われ方としては撮影後の編集でそこに別の映像を挿入したりして、グリーンバックそのもの自体はモノとしての存在が消されます。しかしここでは、壁面すべてを着色した漆喰を使って描画することで凹凸のある素材感が強調されています。
オンライン上での機能や存在意義と、オフラインで実際目の前にしたり手で触れることのできる距離にいる時のモノとしての存在感を両立させるデザインになりました。
この「グリーンバック」の「牛」というものは、私たちがこの「スタジオ302」を運用しながら考えて行く姿勢とも重なります。
現場を覗いてみましょう
鉛筆の下絵の周りから緑で囲んでいきます。
素材はすべて漆喰です!
ヘラで一層目を塗った後、手を使って毛並み感を出していきます。
そして右側の壁面のロゴやごあいさつ文も、実は漆喰です。
QRコードまで・・・細かい!
(ちゃんと読み取れます)
最後はチラシラックを作り、終了です。
関川さん、おつかれさまでした!
パフォーマンスやテキストを扱う作品の他に、デザインもこなす関川さん。実は関川さんにこの壁面改装の依頼をしてから、制作が終わるまでは約1ヶ月ほどしかありませんでした。何度もアイディアを練り直しながら、ROOM302の新しい顔が生まれました。
以上、STUDIO302に出来た新たな一面のご紹介でした。
アーツ千代田3331にお越しの際は、是非3階のアーツカウンシル東京のSTUDIO302に足をお運びください。
いつでも、牛がお出迎えいたします。