自分の感受性くらい
私はメンヘラでした。
小さなことをくよくよ気にして病みました。
ときどき自分語りをして感傷に浸りました。
ミスチルを聴いて街の中で泣きました。
そして困ったことに、そんな自分が大好きでした。
心がぎゅっと締め付けられる感覚を心地よいと思いました。
弱いからとか、繊細だからとか、みんなとは違うからとか、そういう自意識が心の底にへばりついていました。
好きなことで生きようとか、子どもの頃の傷を癒そうとか、自分を抱きしめようとか、そういう言葉が何よりも大好物でした。
そしてさらに困ったことにそれをアウトプットと称して他者に押し付けていました。
謙遜しながらも、心の中では自分をたいそう素晴らしい人間だと思っていたのです。
自分のことしか考えていなかったのです。
自分の負った傷が誰よりも高尚で名誉な傷だと思っていたのです。
散々暴れてアザだらけになった身体を見て、もう二度と泣くまいと誓いました。
自分の感受性を守るというのは、自意識に溺れることではないのだと思いました。
つまらない言葉に変えて相手に押し付けることではないのだと思いました。
だから、もう二度と泣かないと決めました。
涙に乗せて流してしまっては何も残らない。
自分の感受性くらい自分で守れ、馬鹿者よ。
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