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LPで知った藤圭子さんの魅力

藤圭子さんはデビュー当時からTVで観ていました。リアルタイムで歌番組を楽しんだ世代です。

しかし、当時の私は幼すぎ、「まるで日本人形みたいに可愛い」という認識はあっても、その(ドスの効いたハスキーボイスの)魅力までは理解は出来ませんでした。

それどころか、ほぼ同時期に活躍された森進一さんの声と、藤圭子さんの声をよく勘違いしていました。私の耳はあまり良くなかったのかもしれません。

おじさんになってからは、知人が「(何とかと言う、古い有名な)20センチフルレンジを大型バスレフに入れ、真空管アンプで聴いたらとても良いと」話していたので、私もCDを買い求め、デジタルライントランスDLT-1とアナログトランジスタアンプで鳴らしてみました。しかし、それは十分にhi-fiでしたが、感動はいまひとつでした。

藤圭子さんの歌声には「やさぐれ感」があると思いますが、その中に「泥水の中に咲く一輪の睡蓮のような美」があるはずなのに、デジタルでは私にはそれが感じられなかったのです。

しかし、数年前に買っておいたLPで聴いたら、初めて胸に迫ってきました。

ウイスキーのジャックダニエルは、慣れてくると、スモーキーな風味の向こうに、微かにオレンジジュースのような風味を感じますが、藤圭子さんも、やさぐれ感のあるハスキーボイスの後に立ち上がってくる、一瞬の艶やかな女声を、LPで初めて感じたのです。ある意味「チラリズムの美」とでも言いましょうか。

どこかで読んだオーディオマニアのセリフをお借りすれば、「やっとアーティストがわが家に来てくれた」のです。

彼女を知ってから、半世紀ほど経っていました。



(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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