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#ネタバレ 映画「モンタナの風に抱かれて」

「モンタナの風に抱かれて」
1998年作品
電話は哀しみが内在する装置
2015/12/23 7:21 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。)

この映画のレビュー、昔書いたはずですが、なぜか、ありませんので少し書いておきます。もう記憶もおぼろげなので細部までは書けませんが、印象に残っている点だけでも。

あらすじは、こんな話です。

少女グレースは乗馬中の事故で友と片足を失い、心も傷ついていました。またグレースの愛馬も、ショックで暴れ馬になっていました。

雑誌編集長をしていた母親アニーは、グレースの心を回復させるには愛馬も癒されることが必要だと考え、モンタナで馬専門のメンタル・クリニックを開業しているトムの元へ、夫ロバートをひとり残し、グレースと愛馬を連れて旅立ったのです。

ここで私は、グレースではなくアニーに注目しました。

映画は旅立つ前のアニーの仕事の様子も描いています。実は、雑誌編集長のアニー自身も、仕事の忙しさでメンタルまで疲労困憊していたのです。そのとき、仕事の記号として出てきたのが電話だと思います。

人は、面と向かって言えないことも、メールや電話なら言えます。面と向かって話せばストレスは少なくても、電話になると血圧が上がる人もいるでしょう。つまりメールや電話には、何かしらのバイアスが掛かるという事です。

さらにケータイの登場で、どこにいても人から逃れられなくなりました。

それでいっそう心を病んでいったのです。昨今でも、会社員は仕事から、学生さんはLINEやメールの呪縛で、同様な状態になっている人も少なくないのではないでしょうか。

あれは確か、アニーがグレースの愛馬のそばにいるときの事です。突然、アニーのケータイが着信音を響かせます。その瞬間、びっくりして暴れる愛馬。

あれは、「着信音に暴れる愛馬=仕事に病んだアニー狼狽」の記号だったのでしょう。グレースと愛馬だけでなく、ここでも人馬一体の構図が見えます。

私は映画「ローレライ」の追記で「電話と言うものは、本質的に哀しみが内在する装置である」と書きましたが、それを感じた最初の映画が、この映画「モンタナの風に吹かれて」だったのです。

★★★★

追記 ( 「ホースセラピーじわり浸透」 ) 
2017/6/5 16:56 by さくらんぼ

「 ホースセラピー、馬とふれあい心も体も回復」( 朝日新聞デジタル )をご覧下さい。この映画を思いだしました。

・・・・・

ちなみに座禅が立ったままできる立禅「三円式站とう法」(さんえんしきたんとうほう)」も、乗馬由来の気功です。

そう言えばスタイルが乗馬姿に似ていますね。ある意味「馬いらずの乗馬」。パカパカと体を揺らす流派もあります。昔から乗馬は健康に良かったみたいですね。

追記Ⅱ ( 電話アレルギー ) 
2019/3/12 9:14 by さくらんぼ

世に、花粉症があり、ピーナッツアレルギーがあるなら、電話アレルギーがあってもおかしくありません。

「あっしにゃぁ関わりのねぇこって…」の木枯し紋次郎は、「間引かれ損ない」の「いらない子」として生まれました。

それゆえ世間に背を向ける人生観が生まれ、それが「あっしには…」なのでしょう。

もし彼が現代人なら、きっと電話が嫌いなはず。

追記Ⅲ 2022.12.18 ( お借りした画像は )

キーワード「スマホ」でご縁がありました。思わず目がとまってしまいました。幸福感のある美しい画ですね。無加工です。ありがとうございました。


( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。 

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)




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