「AT-LP60X」は雰囲気で聴かせ、「TN-350-SE」は細部を聴かせる。どちらも良い音。
記事に、『 レコードプレーヤー①「AT-LP60X」は「ムーディーで酔える音」だが、②「TN-350-SE」は酔うのではなく、「冷静にLPの音をモニターしたい方に向いている」。
もし、洪水等で2台とも無くしたら、次に買う一台は、私なら「AT-LP60X」か、その類似品になるだろう 』(要約)と書きました。
この記事を読んで、もし②は良くない製品だと思われる人がいらしたら、それは誤解です。それどころか、②は日本製品らしい音と美を備えた逸品だと思います。私の知る限り、あれ以上美しいレコードプレーヤーは少ないはず。生産完了でその美が消えようとしている。
何によらず、細かいところにこだわるのは日本人の特性だと思います。オーディオでも昔からその傾向が見られ、総じて日本製品は、グレードアップすればモニター的な音になる傾向が多かったように思います。
ですから、他の中級以上のレコードプレーヤーでも、おそらく②と同様な傾向が見られると思います。
対して①は、安価な製品なので、モニター的な音作りは困難だと思います。むりに解像度を上げれば音の粗も目立つのでは!?。
なので、音の粗が目立たぬように、ソフトな音に仕上げるのが、設計のコツ(哲学)なのではないでしょうか。その結果、雰囲気で聴かせるようになり、それが、「CD時代に得難い音」「音ではなく音楽に酔わせる音」として、高評価を取って行ったのでしょう。分析的に聴かせるのはCDの方が得意だと思います。
ビデオの時代でもそうでした。解像度を上げると映像ノイズも目立つのです。ノイズを目立たなくすると、今度は解像度が下がる。コストをかければ、かなり両立できるかもしれないが、安く作らなければ売れない。エンジニアはそのバランスに苦心していたはず。
この手法からはラジカセも連想させます。私は、安いラジカセを(素人の生半可な知識で)簡易改造してhi-fi化を目指したことがありますが、意に反して音の粗が目立つようになり、元に戻しました。ラジカセは、あのコストでのギリギリのアート。エンジニアの渾身の作品でした。ラジカセもソフトな音でお化粧するぐらいが、安くて、使える製品になる秘訣のようです。
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