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#ネタバレ 映画「カフーを待ちわびて」

「カフーを待ちわびて」
2009年作品
目標が定まると夢が描ける
2009/3/22 16:56 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

不思議な写真があります。

中央の一枚は、主人公と犬だけがビーチに座って海を眺めています。

左右の二枚は、主人公はこちらを向いていますが、彼女は直前を通り過ぎようとしています。

お互いが見えていないように。

さらに白いワンピース姿や、屋上と地上とでの会話。

これはまるで霊魂と人との会話の様。

そう言えば、絵馬、枝の掟、お盆、霊能力者のおばあ、など、いわくありげな記号が出てきます。

自信はないです。酔っ払いの戯言だと思って聞いてください。

この映画は、主人公が絵馬に願いを書いた事をきっかけにして見た、白昼夢ではなかったのでしょうか。

すべては彼の心の出来事。

人は、絵馬でも、なんでも、目標が定まると夢が描けるのです。

このモチーフは業者が土地の買収を進めるとき、地主に具体的な夢を見させて口説き落とす、そんなエピソードでも使われていました。

映画が始まってすぐ感じたのですが、気のせいか画面が粗い粒子感で撮影されています。この映画が癒しではなく、辛口であることを語っていたのでしょうか。

★★★★

追記 ( ゲルマニウムラジオ ) 
2016/1/18 11:07 by さくらんぼ

幼いころのお正月、思い出はいくつかありますが、そのひとつに「ゲルマニウムラジオ」があります。これはイヤホン専用の電池のいらないラジオです。プラモデル屋さんに売っていて、今のものとは違い、葉書サイズのトランジスタラジオの様にカッコよかった。

お年玉をもらうと、すぐ買いに行きました。昔は、正月三が日、たいていどこの店でも休みになりましたが、プラモデルやさんは元日から営業していたからです。

さっそくラジオを開封すると、ぷ~んと電子機器特有の匂いがして、私にとって、それは幸せの匂いでした。そしてピッカピカのロッドアンテナ取り付けて延ばし、クリスタルイヤホンを耳にはめ、そろそろと選局ダイヤルを回すと、チ~チ~と小さな音が聴こえてきて、胸がドキドキしました。

それから私は、ラジオを持って冬枯れた下町の原っぱ、しずかなお正月の工場地帯を、あてもなく歩いたのです。

思えば私は“遥か遠くから聴こえてくる小さな音”が好きでした。BCLやアマチュア無線のように、ここではない、どこか遠くから聴こえてくる、小さくて賑やかな音が。

その音は私にとっていったい何だったのだろう考えると、それは映画「華麗なるギャツビー」で、主人公が一人いつも眺めていた、対岸の青い光だったのかもしれないと思うのです。

もちろん、あの時の私はまだ幼く、初恋さえもしていませんでした。でも心の中で、ここではない、どこかにあるかもしれない幸せを聴こうとしていたのです。あれは無意識の小さな家出だったのかもしれません。

でも、たいてい七日正月が終わるころには、ロッドアンテナの付け口が壊れてしまい、青い光は見えなくなってしまうのでした。


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。

更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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