#ネタバレ 映画「はじめてのおもてなし」
「はじめてのおもてなし」
2016年作品
あるいは「寅さん映画」のような
2018/2/1 9:41 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
「デコレーションケーキ」や「メリーゴーラウンド」、あるいは「寅さん映画」のような雰囲気を持った作品です。沢山のエピソードが、安心感を持って描き込まれており、二回、三回の鑑賞にも耐えうるものです。
笑いの質も、しっかりと「差別する者を笑う」という基本を押さえています。
安心してENDを迎えたこの映画では、まさか、エンドロールの後に物語はないだろうと思っていたら…油断大敵でした。
老若男女にお勧めできます。
★★★★☆
追記 ( ネコだって居候 )
2018/2/1 9:57 by さくらんぼ
飼いネコがネズミをくわえて見せに来ます。
驚き、嘆くご主人。
でも、「俺は、ネズミが食いたいんだよ。ペットフードじゃなくて…」。
映画の中でネコはそう言っています。
これが映画の主題でしょう。
誤解を恐れずに言うならば…
ドイツ文化(キリスト教的・近代的・ペットフード)と、ナイジェリア文化(イスラム教的・無垢・ネズミ)、との摺り合わせが、近代文化に病んだドイツ一家を救済する物語なのです。
追記Ⅱ ( ネコの心は親心? )
2018/2/1 10:12 by さくらんぼ
>飼いネコがネズミをくわえて見せに来ます。驚き、嘆くご主人。
>でも、「俺は、ネズミが食いたいんだよ。ペットフードじゃなくて…」。映画の中でネコはそう言っています。(追記より)
ちなみに、「なぜネコは、ネズミをご主人に見せに来るのか」について、かつて私が読んだものには、「ご主人がネズミを捕らないので、心配したネコは、親心でネズミの狩りを教えている」とか、書いてあった記憶です。つまり「ネコは犬と違い、ご主人を目上だと思っていない」可能性もあるのです。
それらが本当か否か、ネコでもないし、専門家でもない私には良く分かりません。他にも、ネットには諸説書いてありますので、興味のある方は、ぜひ一度お読みください。
追記Ⅲ ( 救世主は、無垢な若者 )
2018/2/1 10:22 by さくらんぼ
>そして映画は、訴えています。
>もし緊急時に、行政などが「大人の事情」で“もたついて”いたら、君たち「無垢な若者」も発言し、行動しなさいと。(映画「君の名は。」の追記Ⅶより)
映画「はじめてのおもてなし」からも、上記の話が連想できました。主人公の難民は、ご主人たちのために、無垢な心から出る意見を言い、彼らを救ったのです。
追記Ⅳ ( チラシの写真 )
2018/2/2 10:28 by さくらんぼ
よろしければチラシの家族写真を見てください。
ソファーに座っているのは、向かって右から妻、主人公の難民青年・ディアロ、夫です。
夫によれば、(「ドイツでは、妻は夫の所有物ではない」という考えの副作用で)、夫婦仲は良くありません。
その為、さみしい妻は(右端に置いてある)ワインを手放せず、アル中直前です。それでも物足りないので、孤独な難民にも感情移入したのか、突然「ホームステイさせる」と宣言したのです。夫を放り出して寄りそう、そんな妻に、ディアロは少々困惑気味。
一方、夫は腕を組み、(ディアロとは反対側に)脚も組み、拒絶のボディランゲージを示しています。この夫、外科医をしているインテリですが、隠れ差別主義者なのです。しかしホロコーストをしでかしたドイツで、公に差別主義者のレッテルを張られることは絶対に避けたいので、ひたすら隠していますが、ストレスが溜まって、ときどきキレるのです。
そんな中、妻が酒浸りだったことに(たぶんナイジェリアではありえない光景なので)異常を感じたディボロは、その原因が(たぶん、これもナイジェリアとは違う)夫婦の距離間であると悟り、折を見て、夫に率直な議論を仕掛けるのです。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)
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