#ネタバレ 映画「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」
「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」
2013年作品
自分を偽ると幸せになれない
2016/8/30 7:25 by さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私の映画レビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
若いころ、会社で窓口仕事をしたことがあります。数人で毎日数百人のお客様を相手にして。
そのとき、私とは個性が違う先輩の接客ぶりに感心したので、「本来の自分で戦うのか、演技して(先輩の個性をまねて)戦うべきか」と迷ったことがあります。トラブルなく少しでもスムースに仕事をこなしたかったから。
ちなみに、私が「柔」なら、先輩の個性は「剛」でした。
試しに「先輩の個性をまねて」接客してみました。
でも、効果があまり感じられないばかりか、違和感が強くて疲労し、すぐにやめました。考えてみれば「接客自体がすでに演技」、その上に「先輩の個性をまねれば、演技×2」になってしまうわけです。強い違和感があって当然ですね。
それに気づいてからは「いつも自然体で接客」していました。今振り返っても、それで正解だった思います。そして、その姿勢はこの文章を書いているときも、あまり変わりません。私の個性は「柔」だと思います。
ところで映画「パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト」。
主人公・パガニーニは、子供の頃から、その「音楽の強烈な個性」を世に認めてほしいと思っていました。でも、強烈であるがゆえにいつも拒絶されたのです。
そんな彼に一人の興行師が目をつけます。彼は「あること、ないこと宣伝」し、大衆の人気を盛り上げ、見事に興行を成功に導くのです。
しかし、あることはともかく、「ないこと」まで宣伝され、「その演技を強要」されたパガニーニは、精神のバランスを崩していくのです。
パガニーニが滞在していた指揮者の家(今で言う「民泊」か)では、金銭に困窮していたのでメイドさんがいません。しかたなく実の娘をメイドだと偽ってパガニーニの世話をさせます。
しかし、ほんとうは娘なので「父に反抗し」うまく行きません。
やはり皆「自分を偽ると幸せにはなれない」のです。
パガニーニを演じたデイヴィッド・ギャレットさんは、演奏もすばらしいですが、男が見てもぞくぞくするほどの良い男ですし、興行師・ジャレッド・ハリスさんはどこからみても悪魔。霧のロンドン?も雰囲気があり…そうそう、忘れてはいけない、メイドを演じたアンドレア・デックさんがとってもキュートでした。
★★★★☆
追記 ( 才能が世に出るまでを目撃する )
2018/3/26 21:51 by さくらんぼ
これは、埋もれていた異能を世に出そうとする男(興行師)の、その苦労のお話でもあります。
映画「海月姫」を観て、ふと思いだしましたから、ご紹介します。
崩れそうに面白い喜劇である映画「海月姫」とは違い、こちらはシリアスでハードです。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)
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