【連載小説】雨がくれた時間 6.言えない心
前回の話はこちら 第5章「邂逅」
始めの話はこちら 第1章「思わぬ雨」
6 言えない心
「最近、来てなかったのか? 悟の墓参り」
私のビニール傘をさしたまま並んで歩いていた澤村が、唐突に聞いた。
理由を深く追及されたくない一心で「時間が取れなくて」とだけ答える。
「君にしては珍しいな。どんなに忙しくても三ヶ月に一度は墓参りを欠かしてなかっただろ?」
「なんか、最近バタバタしてたのよね。ほら、結衣がちょうど受験だったし……」
「すまん。休みもほとんどあげ