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《「食器にお花をいけよう!」ワークショップ》の記録@ゆめしか家

お土産にいただいたお花の香りが、今日も家の中に拡がって気分よく過ごしています。


2025年2月24日にゆめしか家にて開催された「『食器にお花をいけよう!』ワークショップ」

敬愛する山田尚俊先生と大槻香奈さんのイベントということで、お客さんとして普通に参加したい気持ちもありつつ、アシスタントとして暗躍していました。


山田尚俊先生(大和花道・家元)


一人にバケツいっぱいのお花

今回は、大和花道(というか山田先生の)トレードマークとなっている「水いけ」を教えていただく回でした。
いけばなの歴史にも触れつつ、花を立てる意味、いけばなに向き合う姿勢についてお話いただいた後に実技スタート。


水いけ、まずは三本から。この時点で魔法。

まずは山田先生が三本のお花をお皿の上に見本で立てます。
お花と対話して重心を指先でしっかりと見据えて支え合うこと。言葉で説明されるとハードルが高そうで、そして先生の魔法のような手捌きに「本当にできるんだろうか・・・」と不安も入り混じりつつ、ワクワクしながら実際に手を動かしてみると皆さん次々に成功していきます。


大槻香奈さん(美術作家・ゆめしか家主宰)


使用したうつわ(足りずにこの後追加)


今回使用した食器はほぼ青山私物。水いけのためにお皿を準備してほしいとのことでしたので、雰囲気大小も様々にセレクト。
皆さんには好きな食器を選んでいただきました。普段は「お皿」として料理を盛り付けるための視点で眺めるうつわたちも、お花をいける前提となると見方が変わります。


お好きに選んでいただいて

最初の三本に成功するとそこから四本目、五本目と継ぎ足したり、違ううつわで試したり、大作に挑んだりとご参加者の皆様それぞれに楽しくいけばなに臨んでいただきました。


足されるお花
隠れた猫
うつわをいける
足元の作り方
横に広がるように
花材ほぼ全種の大作

全員が同じ花材で、まったく違うビジョンで、それぞれに全く異なる色彩感覚や造形感覚で作品が出来上がっていきます。
時間が経つとどんどん、ゆめしか家の空間内が立ち上がったお花で埋め尽くされ、眼福と言って良い多幸感溢れる夢のような景色に変わっていきます。
お互いの作品を眺めながら、そこに現れてくる個性を読み解きながらお花をいけているうち、あっという間に三時間は過ぎてしまいました。


立ち上がる花たち

古来、日本において「花を立てる」とは神様をそこにお呼びするために始められたそうです。
これだけたくさんのお花が、色とりどりに立てられた昨日のゆめしか家には芸術やお花の神様が賑やかに集まってくれたのではないでしょうか。
間違いなく、夢仕掛けの芸術がもたらす希望とか喜びがゆめしか家に満ち溢れていました。


ここからは今回、アシスタントとしてご参加の皆様と同じ時間を過ごした感想です。
山田先生のお話を伺ってから、実際にお花とうつわを目の前に手を動かすことで、お花やうつわの見方そのものが変わります。お花の重心を見つけるためにしっかり触れること、切られたお花がより美しい姿となるためにしっかりと見つめること。うつわの形や柄を、通常の使い方とは離れて自身の見立や、花のためのうつわとして新しい姿で眺めること。
そうした視点は一度インストールしてしまえば、体や頭のどこかに残ります。それを家に帰ってからも少しずつ実践することで、生活そのものが芸術に変わっていく。芸術が生活の中で当たり前にある行為として再発見されていき、その前提で新たに「特別な芸術」を見出すことができるのではないでしょうか。
そこに僕は芸術の豊かさがもたらす、人生への希望があるのではと思います。そうして生活と芸術が一層強く繋がることで世界を変えていくこともできるのでは考えています。
小さな空間での濃密なワークショップだからこそ、その希望が強く感じられる一日でした。

何より皆さんが、時間が経つごとにどんどん楽しそうになっていくのが傍目にとても嬉しかったです。次はよくできたサクラ客として参加したいです。

またの開催をどうぞお楽しみに。

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