初級編 その13
明治後期から昭和期にかけて活躍した落語家
五代目 古今亭志ん生さんの小噺(こばなし)
「うーん? 俺の夢なんざァ、もっと大きいや」
「そうかい。どんな夢」
「うーん。ナスの夢だい」
「ナスの夢? ナスなんぞ、おめぇ、どれだけ大きいんだ、大きいったっておめぇ、なんだろう、まぁ一尺ぐれえの大きさのナスっていやァかなり大きいな」
「そんなんじゃねぇんだ、もっと大きいんだ」
「あァん? 何か、三尺ぐらいのナスか」
「もっと大きい。ずっと大きいや」
「畳一畳ぐれぇか」
「もっと大きい」
「じゃ、この、六畳の座敷いっぱいくらいのナスか」
「いやァ、もっと大きい」
「じゃ、この家ぐれぇか」
「もっと大きい」
「そんな大きい……町内ぐれぇか」
「もっと大きいや」
「……うーん、どんな大きいナスだ」
「暗闇にヘタつけたようなンだ」
「ナスビ」は「概念」としてあります
「概念」というのは
おおかたの人が「こんなもんであろう」
と思う共通項的なものです
「ナスビ」と聞いて
「はいはい、ナスビね」と思い描く「ナスビ」です
「暗闇にヘタをつけたようなナスビ」は
「観念的」な「ナスビ」です
夢を見た人が「主観的」に描いた「ナスビ」です
では、この「暗闇にヘタをつけたようなナスビ」
の構成を当教室向けに解釈しますと
「暗闇」が「無意識」で
「ヘタ」が「意識」
世界観として置き換えると
「潜在世界」が「暗闇」で
「実在世界」が「ヘタ」となります
このイメージを落とし込んでみてください
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