FF14、拡張タイトルのクオリティとシナリオのクオリティに相関ある説
相関とか定量的な顔をしながらむちゃくちゃ主観的な話をします
蒼天のイシュガルド
私は「蒼天のイシュガルド」のタイトルが一番好き
イシュガルドの名前自体がいい
sh音の軽さとg音d音の重さの同居
こんなん鎧纏いて空駆ける竜騎士の国のための名前じゃん!!!
蒼天の響きの爽やかさ
物語のスタートは一面の吹雪で青空なんて見えない
主人公もイシュガルドも先の見えない雪煙の中にある
そこから切り開いた希望の象徴としての蒼天
物語のカタルシスを体現した最高のタイトル
若干「蒼天已死」が頭にちらつくのは気になる
あとさあ、Heavenswardってのがマジでかっこいい
この造語をつくったやつにノーベル賞やりたい
skywardでもheavenwardでもなくheavensward
一貫して雲を抜けて空の上を目指す話なんだ蒼天は
無数の切り口で提示される地上-天空のイメージ
フライング
アバラシア雲海/ドラヴァニア雲海/魔大陸
教皇庁や大聖堂の天を衝く尖塔
ソーム・アル
ジャンプする竜騎士
人の世界とドラゴンの世界
戦争と平和
暗い運命と明るい希望
この多重性がheavens
英語の文法としておかしい? そんなこたあどうでもいいんだよ
紅蓮のリベレーター
「紅蓮のリベレーター」はリリース前すげー微妙だなと思った
青やったから赤という安直な発想
アラミゴの色は紫だし
戦火の色と言うには別に戦争してないしね
とってつけたようなリセの赤い服も嫌い
リベレーターも普通名詞じゃん
解放者って単なる説明じゃん
アラミゴとドマを解放しますよってだけ
しかもヨツユもゼノスも別に解放してない
響きも間延びしてて良くない
最後までやったけどマジでなんの含みもなかった
タイトル回収の気持ちよさゼロ
Stormbloodはなんかうっすらイメージは分かるけど
練られ尽くした言葉とは思えない
ゴロはめっちゃいい
漆黒のヴィランズ
「漆黒のヴィランズ」は本当によくできてる
初見ではまず闇の戦士(と取り巻き)のことなんだよね
英題ShadowbringersやOPムービーも相まって明確なイメージ
罪喰いになった人々を覚悟を持って滅して、世界に闇を取り戻すダークヒーロー
やっぱね、テスリーンはああするしかなかった
でも進めていくとわかる、複数形の意味
FF史上最高の悪役、エメトセルク
FF14の最大の功績はマジでこいつを生んだことだと思う
時間と空間を超越するでかすぎる企み
そして同じくらい大きいその感傷
悪意に染まった異常者でも、世界を滅ぼす純粋な力でもない
悪 evilじゃなくて「悪役 villain」なんだよね
でもそれだけじゃない
元闇の戦士たち、その他諸々のアシエン、大罪喰いたち、ユールモアの民、ピクシー、原初世界と鏡像世界
みんながなにかの対立構造の中にあって、誰もが誰かにとっての悪役なんだ
光と闇を反転することでわかる主人公と悪役の無限の円環
ヴィランは2010年代の流行でもある
『マレフィセント』(2014)『ディセンダント』(2015)『ヴェノム』(2018)『ヘルボーイ』(2019)『ジョーカー』(2019)
そこにFF14ならではの解釈を与えた一つの到達点
正義と悪の相対化にとどまらない、ヒカセンというプレイヤー自身の体験の中でそれを統合するという超高度な試み
FF14参照しないヴィラン論に価値なし
これぜんぶを集約した名タイトル
ひとつ難癖をつけるなら、villainsとshadowbringersがほぼ同じものを指すせいでイメージが分散してしまうこと
他の拡張では日本語と英語でレイヤーがずらされていてそうならないようになってる
暁月のフィナーレ
フィナーレはダサい
とつぜんラテンっぽい響き
意味もそのまんま過ぎる
まあでも最後なんだからしょうがないか
暁月は多重性のあるいい言葉選び
自ら色縛りを抜けた
抜けつつも、白を控えめに主張
黎明の白みゆく空と薄白い月
シリーズの一貫性を保持
漆黒との対比や物語の幕引き感も演出できる
実際に月が舞台でもある
月こそがストーリーのあらゆる舞台装置の要
現在と過去をつなぐよすがであり、宇宙に出られるという未来への希望のしるべでもある
(一応)暁の同盟の終わりでもあるんよね
Endwalkerはクリアしたら字面だけで泣ける
暗いウルティマ・トゥーレを歩きながら
我々は「終わり」を噛みしめる
宇宙の果て
あらゆる文明の終局
そして物語の終わり
終わりを征くものとはヒカセン、そしてプレイヤー自身
でも遠くに去っていくわけじゃない
終わりの先に次の始まりがある
おわりの名は希望/Living on a Prayer
我々は「希望を征くもの」である
歩くことは、ただ向かうことじゃない
その旅路で出会ったものと関わりながらゆっくり進むということ
新生からフィナーレまで長い長い道のりを歩んできたヒカセンを寿ぐ、最後にして最高の称号
黄金のレガシー
黄金、俗っぽすぎる
ファンタジーが感じられない
今さらヒカセンに金はいらないでしょ
せっかく色縛り抜けたのに戻ってきちゃった
青赤黒白と来たから黄色とかいう安直な選択
次とか次の次とかどうすんの?
黄金は黄金郷以外に意味あった?
ないでしょ?
黄金郷も全然黄金じゃなかったし
ネオンだネオン
レガシーにはめちゃ意味を込めた形跡がある
残され引き継がれるもの
グルージャジャから子どもたちへ
ゾラージャからグルージャへ
ナミーカからウクラマトへ(逆も)
カフキワからエレンディルへ
親からクルルへ
伝統
魂/記憶
ただこれらは単なる並列になってしまってて、重層性が薄い
というか、引き継がれないものなんてないんだよ
その形こそが大事じゃん
「遺産」の意味を深めたエピソードはなかった
あとヒカセンと1mmも関係ない
我々、今回なんか残してもらいましたっけ?
鬼退治した桃太郎が手ぶらで帰ってきたらダメでしょ
財宝をよこせ
残したものもない
そもそもレガシーっていうのはさ、もともとFF14においては別の意味があるじゃん
なんでタイトルに使ったの?
Dawntrail
これマジで終わってる
ぜんぜん話と関係ないし
何がdawnで何がtrailだったんだよ
trailは分からなくもないけど
「路」のこと……なんだろ……? どうせ……
「路」がマジで意味不明テーマだったからどうしようもない
これこそ複数形にすべきじゃん
あのころのセンスはどこに行ったんだよ
なんで暁をまたここで出すんだよ
まとめ
ほらタイトル見たら出来がだいたい判断できる!!!
と思いませんか?
もちろん後付け解釈だからクリアしないと分からないけど
因果じゃなくて相関ってゆってるから許せ
結局、物語で何を表現したいか分かっている作品は良いタイトルがつけられるんだよね
紅蓮と黄金はやっつけ仕事
紅蓮は深みがなく、黄金は上滑り
HeavenswardとEndwalkerを作った人はノーベル賞級
これ作った人一緒だったら感動する、列聖すべき
やっぱり物語の要請で名前をつけるべき
タイトル回収は大事
しょうもないシリーズ一貫性みたいなのにこだわると負ける
またClose in the Distance聞いてあのときの気持ちを思い出したい
※画像はスクエニの著作物です。公式サイトより。