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「ミツバチのささやき」ではなくて「ミツバチにささやく」映画
『ミツバチと私』(2023年/スペイン/128分/スペイン語・バスク語・フランス語/配給:アンプラグド)監督・脚本:エスティバリス・ウレソラ・ソラグレン 出演:ソフィア・オテロ パトリシア・ロペス・アルナイス アネ・ガバライン
生まれ変わったら、女の子になれるかな?
《本当の自分》を探す子どもの葛藤と、寄り添う家族の物語
夏のバカンスでフランスからスペインにやってきたある家族。8歳のアイトールは自分の性自認が分からず、違和感と居心地の悪さの中で悩み、周囲に心を閉ざしていた。母アネはアイトールを愛しながらも向き合い方に迷っており、子育てを巡って家族と時々対立していた。叔母が営む養蜂場でミツバチの生態を知ったアイトールは、ハチやバスク地方の豊かな自然に触れることで心をほどいていく。ある日、自分の信仰を貫いた聖ルチアのことを知り、アイトールもそのように生きたいという思いが強くなっていくのだが……。
第73回ベルリン国際映画祭銀熊賞
史上最年少8歳で最優秀主演俳優賞受賞!
性同一障害に悩む子供の通過儀礼的な映画か?子供と書いたが、こういう場合どう表記していいのだろうか?男の子なのか、女の子なのか悩むよな。男の子から女の子へ成る話なんだが。
スペイン映画ということで『ミツバチのささやき』を意識した作りだということがわかる。主演俳優のソフィア・オテロの演技はアナに匹敵するか?ソフィアって女の子だったのか?そのへんはどう表記していいかわからないが、そういうテーマの映画なのだ。
男の子の名前が気に入らないアイトールはココと呼ばれているのだが、それも友達からおかしいと言われ悩むのだ。母親は彫刻家でリベラルな考えなんだがアイトールの気持ちがわからなくなっている。母は自分らしく生きればいいと思っているのだが、祖母は最初は男の子として接する。そういうところでも母と祖母(母の母)との口論の原因でもあるのだが、そんなひと夏の経験がアイトールの人生を変えていく映画。
男の子と周りの人間は見るのでその阻害というか母はそれを理解しているというのだが、世間の関係まで理解していなかった。例えば父親はそんな息子が理解できない(それが原因で別居ということなのだが)。母は芸術家だから自分が生きたいように生きればいいというポリシーなので周りの人々との争いが耐えない。祖母は祖父(母も父の影響を受けている)が芸術家であったので、生きる為の生活を蜜蜂飼育で生計を立てていたのだ。自給自足的な田舎(バスク地方)なのだが。
その地方の夏休みも都会の子供が自然やバスクの文化に触れ合って成長していく。バスク地方のキリスト教のお祭りに篝火に紙に書いたおまじないをすると願いが叶うというような(どんど焼きみたいな感じか?)祭りがあって、それに参加する途中でアイトールは行方不明になるのだが。
その前に兄と二人で儀式のように(「禁じられた遊び」)作業場で、火遊びをしてボヤ騒ぎになってしまう。そのときに母の彫刻を壊してしまうのだが。母にしてみれば自身の作品が壊れたことで危機的な状態を現しているのだと思った。その彫刻を収めれば教授に成れるというような作品だったのだ。そういう母と息子の関係性もある。母のドラマでもあるのだ。
それと祖母の養蜂を手伝いながら自然を学んでいくという通過儀礼的な側面もあり、アイトールからルシア(聖女の名前)に変わるのだが、ラストもいろいろあって面白かった。
「ミツバチのささやき」ではなくて「ミツバチにささやく」と願いがかなっているという映画かな。