サヒブ・シハブはアメリカよりヨーロッパ・ジャズの人だった?
"Companionship"Sahib Shihab( Vogue Schallplatten-1971)
Sahib Shihab – baritone saxophone, flute
Benny Bailey – trumpet, flugelhorn (tracks 3, 4 & 8)
Idrees Sulieman – trumpet (track 9)
Åke Persson – trombone (tracks 6 & 9)
Francy Boland – piano (tracks 1, 2, 5, 7, 9, 11, 12 & 14–20)
Jimmy Woode – bass, vocals
Kenny Clarke – drums
Fats Sadi – vibraphone percussion (tracks 1, 2, 5, 7, 11, 12 & 14–20)
Joe Harris – percussion (tracks 1, 2, 5, 7, 11, 12 & 14–20)
Milt Jackson – vocals (track 13)
数あるサヒブ・シハブの作品中でも最もエッジの効いた演奏が堪能できる珠玉の1枚!
あのクラーク=ボラン・セクステットの最高傑作『Music For The Small Hours』に匹敵するヨーロッパ・ジャズ史に永遠に光り輝く最重要作品!
サヒブ・シハブとクラーク= ボラン・ビッグ・バンド関連のアーティスト達のスモール・コンボ4 種によるアウト・テイクと、
そのクラーク= ボラン・セクステットの65 年リリースのアルバム『Marcel Marceau Prasentiert Swing Im Bahnhof』が丸々収められている濃厚な編集盤アルバム。
パーカッション、フルートが畳み掛けるキラー・ラテン・ジャズ・ダンサー「Om Mani Padme Hum」、バリトン・サックスが火を噴く「Bohemia After Dark」など、
ヨーロッパ・ジャズ・ファンは言うまでもなく、レア・グルーヴ、クラブ・ジャズ・ファンまでに愛され続けるマスター・ピース。
元はクラーク= ボラン・ビッグ・バンドのアルバムからサヒブ・シハブとの共演盤を編集したと思われる。1964〜 1970年までに録音されたものの寄せ集め。バンドとして実質リーダーはドラムのケニー・クラークで、音楽作りは編曲・ピアニストのフランシー・ボラン(ベルギー)が担当したと思われます。
サヒブ・シハブはマルチプレイヤーでアメリカではそれほどでもなかったようです。数々の有名プレイヤーとの共演歴はあるもののリーダー作には恵まれず人種差別に辟易して、1961年にはヨーロッパに渡ったいます。そこでクラーク= ボランなどと共演して活躍したのだろうと思います。イスラム教徒でアラブ系のサウンドですかね。マルチプレイヤーとしてはドルフィーの陰に隠れてしまったのかもしれません。
このアルバムではケニー・クラークのドラムが目立ちます。ケニー・クラークも早くからヨーロッパに渡っていたのは次世代のドラマーが出てきたからでしょうか?人種差別もあったのかも。ただヨーロッパに出てからはけっこうな人たちと共演しています。大御所という存在感で、ヨーロッパ・ジャズの土台を支えた一人かも知れません。
そして、フランシー・ボランのそれまでにはないようなスタンダードの編曲が面白いです。短いけれど、ギュッとまとめられて華やかな感じです。アメリカのジャズにはない明るさみたいなものも感じられます。
その中で自由自在にリード楽器を吹いているのがサヒブ・シハブです。フルートとかなかなかエキゾチックなサウンドでいいです。
(ジャズ再入門vol.74)
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