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永遠に未解決な探偵映画

【ジャン=リュック・ゴダール映画祭】
『ゴダールの探偵』(1985年/スイス、フランス)脚本:アラン・サルド、フィリップ・セトボン、ゴダール、アンヌ=マリー・ミエヴィル 出演:ジャン゠ピエール・レオ(イジドール)、ジョニー・アリディ(ジム)、ナタリー・バイ(フランソワーズ)

探偵と刑事、ボクシング関係者、飛行士夫妻、老いたマフィアらが滞在中のホテルで交差する姿を、スター俳優を起用して描いた犯罪群像悲喜劇。『マリア』の完成資金を稼ぐためにゴダールが引き受けた企画で、カサヴェテス、イーストウッド、ウルマーに捧げられているのもそれぞれ商業的要請の中で見事な犯罪劇を撮った彼らへのオマージュと受け取れる。

この映画もかなり苦戦するゴダール映画。探偵映画のメタフィクション的な喜劇的内容になっているのは中年になったジャン゠ピエール・レオのぽっこりお腹とか、そういう駄目な人の部分でもなんとなく好感をもってしまうというか映画的には破綻している内容である。

それは使われている音楽がシューベルトの『未完成』なのだがそれも絶えず中断させて、余計にモヤモヤが募る仕組みになっている。

ゴダールは商業映画から脱却したジガ・ヴェルトフ集団で自主制作的な映画を作っていた70年代から商業映画に戻った80年代だが、それでも実験作を作り続けて、これは最たるものかもしれない。映画館でなかったら寝てしまうか他の映画にするかというどうでもいい映画のようだけどゴダールの映画なので無視できない。永遠に未完成の部分を残しつつ映画を撮るゴダールの姿そのものの映画なのだと思う。その原点に探偵映画があったのだ。

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