見出し画像

クールな奴ほど面倒見がいいのです

『Lee Konitz with Warne Marsh』1955年6月14日NY

Lee Konitz – alto saxophone
Warne Marsh – tenor saxophone
Sal Mosca – piano (tracks 2, 4-6, 8)
Ronnie Ball – piano (track 7)
Billy Bauer – guitar
Oscar Pettiford – double bass
Kenny Clarke – drums

1. "Topsy" Edgar Battle; Eddie Durham 5:29
2. "There Will Never Be Another You" Harry Warren 4:49
3. "I Can't Get Started" Vernon Duke 3:58
4. "Donna Lee" Charlie Parker 6:17
5. "Two Not One" Lennie Tristano 5:35
6. "Don't Squawk" Oscar Pettiford 7:20
7. "Ronnie's Line" Ronnie Ball 3:10
8. "Background Music" Warne Marsh

レニー・トリスターノのスクールのクール・ジャズですね。トリスターノ学園とイメージするのはミッション系の自由な気風の寮生の学校ですね。厳しくとも生徒間は仲が良く面倒見の良い先輩がいる。ウォーン・マシューはまさにそんなタイプだと思うんですね。そして、繊細な早熟な天才少年のリー・コニッツがやってきた。

ウォーン・マシューのテナーはクール・ジャズと言ってもレスター・ヤングのようなうちに秘めるホットな感覚があるように思えます。白人のサックスはよくレスター・ヤングを手本にしますが彼ほど近づいた者はいないのではないのかな。惜しまれるのはそれほど代表作がないと言うか、やっぱリー・コニッツと一緒にやっているアルバムになってしまって損をしていると思います。

そんなわけでリー・コニッツとは相性ピッタリなわけですが、兄弟的というよりもゲイ・キャノン的。ウォーン・マシューの暖かさにリー・コニッツの繊細なアルトが包まれていくというような。最初の「トプシー」いいですよね。ユニゾンで付かず離れず先輩に付いていきますという感じで。その後のリー・コニッツのアルトも最高です。ビリー・バウワーのギターもいい合いの手を入れています。こういう親友は必要です。出しゃばらずアシストする。クラス全体をまとめているのはベテラン・ベーシストのオスカー・ペティフォードですね。クラスの中もこれで上手くいきます。

"I Can't Get Started(言い出しかねて)"でリー・コニッツのアルト・サックスに堪能した後のウォーン・マシューのひそひそ話。意味深な二人ですね。

"Donna Lee"打って変わってチャーリー・パーカーの軽快なこの曲でもやもやを軽快にダッシュして青春時代してます。レニー・トリスターノ仕込みならこのぐらいの曲は軽々演奏しなければならない。

"Two Not One"レニー・トリスターノ先生の課題曲も息のあった演奏でいいですね。その後に生徒の曲の発表があり、最後にウォーン・マシューの曲で締めています。リー・コニッツの張り切り方が違いますね。


(ジャズ再入門vol.27)


いいなと思ったら応援しよう!