歌が入ってこなかった。
『恋い焦れ歌え』(2021/日本)監督:熊坂出 出演:稲葉友,遠藤健慎,さとうほなみ,高橋里恩,松永拓野,水澤紳吾,瓜生和成,中村まこと,黒沢あすか,小久保寿人
解説/あらすじ
清廉潔白な小学校臨時教員・桐谷仁。正規教員の道も見えてきた最中、彼を恐ろしく深い闇に突き落とす出来事が――。それから3か月経ったある夜、「覚えてる? 俺のこと」彼の前に、謎の男が現れる。仁が抱えた"あるトラウマ"を容赦なくえぐり、さらにそれをラップで表現するよう挑発する、まるで黒い悪魔の使者のようなその男。いったい何故? この街・川崎で深い傷を負った男たちが再生するための葛藤、戦い。そしてその向こうにある真実の愛とは…。
おじさん世代にはついていけない映画だった。ゲイの映画だからでもないんだよな。ウォン・カーウェイ『ブエノスアイレス』とかはそう違和感なく観れたのだ。
保守的な教員である男(『万葉集』を愛し、俳句はダサいという)がある日レイプ(オカマを掘られ)されて人生が変わっていく話。同性愛の映画ではないのだ。異質な他者を理解する。それもかなりハードな状況でということだ。
連想するのはランボーとヴェルレールの関係。暴力的までに振る舞うKAIという若者の怒りはなんなのか、それがわからくて戸惑う。それはラストで解決されるのだが、そのミステリアスな男と先生の関係と過去なのだ。そこまで理解するには、最後までわからない。
それが斬新なのか、観客が置いていかれるような気もするのだが、家で観たら途中で止めてしまうだろうな。
教師が何故それほど暴力を受けるのか?理由が過去の関係にあるのでそれが明らかになるまで、宙吊りにされるのだ。
その間のシーンを楽しめるかという問題だと思う。私は楽しめなかった。レイプ映画ってそういう感じなのか?そういう意図があったのなら成功なのだろう。それもよくわからない。何故なら最後に二人が結ばれるのだから。
心と身体は別物ということなんだろうか?少なくとも心(精神)を変えられてしまうのは確かなようなのだ。そこに強烈な詩があるからか?なんか違うんだよな。ラップもそれほど感動するものでもないし、そういうところかな。映像美だろうか?ゴダール『気狂いピエロ』のような。
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