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風よ、あらしよ、で、伊藤野枝だった

『風よ あらしよ 劇場版』(2023年製作/127分/G/日本)原作:村山由佳『風よ あらしよ』(集英社文庫刊)演出:柳川 強 出演:吉高由里子、永山瑛太、松下奈緒、美波、玉置玲央、山田真歩、朝加真由美、山下容莉枝、渡辺哲、栗田桃子、高畑こと美、金井勇太、芹澤興人、前原滉、池津祥子、音尾琢真、石橋蓮司、稲垣吾郎

関東大震災後の混乱のさなか、
ひとりの女性が憲兵に虐殺された。
女性解放運動家の伊藤野枝。

「女は、家にあっては父に従い、嫁しては夫に従い、夫が死んだあとは子に従う」事が正しく美しいとされた大正時代―。
男尊女卑の風潮が色濃い世の中に反旗を翻し、喝采した女性たちは社会に異を唱え始めた。福岡の片田舎で育った伊藤野枝(吉高由里子)は、貧しい家を支えるための結婚を蹴り上京。平塚らいてう(松下奈緒)の「元始、女性は太陽であった」という言葉に感銘を受け手紙を送ったところ、青鞜社に入ることに。青鞜社は当初、詩歌が中心の女流文学集団であったが、やがて伊藤野枝が中心になり婦人解放を唱える闘う集団となっていく。野枝の文才を見出した第一の夫、辻潤(稲垣吾郎)との別れ、生涯のパートナーとなる無政府主義の大杉栄(永山瑛太)との出会い、波乱万丈の人生をさらに開花させようとした矢先に関東大震災が起こり、理不尽な暴力が彼女を襲うこととなる――。

伊藤野枝を演じたのは吉高由里子。平塚らいてうに松下奈緒。また野枝の第一の夫、ダダイスト・辻潤を稲垣吾郎が、また後のパートナーとなる無政府主義者・大杉栄を永山瑛太が演じる。吉川英治文学賞を受賞した村山由佳の評伝小説を原作に、向田邦子賞受賞の矢島弘一が脚本を担当する。本作の監督を務めた柳川強は「赤毛のアン」の翻訳者・村岡花子の波乱万丈の人生を描いたNHK 朝の連続テレビ小説「花子とアン」のディレクターも務めており、本ドラマでも主演を演じきった吉高由里子とは9年ぶりのタッグを組んだ。
ひとりの女性の短くも激しい生涯から 100 年経ったいま――なにがかわり、なにが残されているのか。

2022年にNHKBSで放送されていたとは知らなかった。作りはTVドラマ的だったけど大杉栄と伊藤野枝は好きだから面白く観られた。ドラマの内容もほとんど知っていることだったので、後は役者の出来なんだけど伊藤野枝を演じた吉高由里子は良かった。田舎娘が東京に出てきて地味目な感じが後半は洋服も着ていたが着物姿の方が似合っていた。実際はもっと地味な感じだけど映画だからな。他の平塚らいてうの松下奈緒もなんとなく良かったかな。辻潤の稲垣吾郎がはまり役だった。大杉栄の瑛太もどもりの感じとか上手く演じていたとは思うが大杉とはちょっとイメージが違った。これTVドラマで見たかったかも。映画でも面白いけどやはりドラマ向きの脚本だよな。

大杉栄が逮捕され大臣の後藤新平に長い手紙を書くシーンもあった。あと日蔭茶屋事件の神近市子との三角関係も描いていた。それそれのシーンはもっと深掘りしてもらいたかったがTVドラマの総集編という感じだから仕方がないだろう。あと大杉の家に居候していたアナーキストたちが野枝の子供のオシメを替えたり面倒みたりしていたとか。ただ二人が虐殺された時に居候のアナーキストが復讐に出る事件までは描いていなかった。

吉田喜重監督『エロス+虐殺』や瀬々敬久監督『菊とギロチン』も面白いが伊藤野枝を描いた正統的なドラマかもしれない。


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