風よ、あらしよ、で、伊藤野枝だった
『風よ あらしよ 劇場版』(2023年製作/127分/G/日本)原作:村山由佳『風よ あらしよ』(集英社文庫刊)演出:柳川 強 出演:吉高由里子、永山瑛太、松下奈緒、美波、玉置玲央、山田真歩、朝加真由美、山下容莉枝、渡辺哲、栗田桃子、高畑こと美、金井勇太、芹澤興人、前原滉、池津祥子、音尾琢真、石橋蓮司、稲垣吾郎
2022年にNHKBSで放送されていたとは知らなかった。作りはTVドラマ的だったけど大杉栄と伊藤野枝は好きだから面白く観られた。ドラマの内容もほとんど知っていることだったので、後は役者の出来なんだけど伊藤野枝を演じた吉高由里子は良かった。田舎娘が東京に出てきて地味目な感じが後半は洋服も着ていたが着物姿の方が似合っていた。実際はもっと地味な感じだけど映画だからな。他の平塚らいてうの松下奈緒もなんとなく良かったかな。辻潤の稲垣吾郎がはまり役だった。大杉栄の瑛太もどもりの感じとか上手く演じていたとは思うが大杉とはちょっとイメージが違った。これTVドラマで見たかったかも。映画でも面白いけどやはりドラマ向きの脚本だよな。
大杉栄が逮捕され大臣の後藤新平に長い手紙を書くシーンもあった。あと日蔭茶屋事件の神近市子との三角関係も描いていた。それそれのシーンはもっと深掘りしてもらいたかったがTVドラマの総集編という感じだから仕方がないだろう。あと大杉の家に居候していたアナーキストたちが野枝の子供のオシメを替えたり面倒みたりしていたとか。ただ二人が虐殺された時に居候のアナーキストが復讐に出る事件までは描いていなかった。
吉田喜重監督『エロス+虐殺』や瀬々敬久監督『菊とギロチン』も面白いが伊藤野枝を描いた正統的なドラマかもしれない。