川上哲也には妹がいた
『REVOLUTION+1』(2022/日本)【監督】足立正生 【キャスト】タモト清嵐,岩崎聡子,高橋雄祐,紫木風太,前迫莉亜,森山みつき,イザベル矢野,木村知貴
東京より先に限定公開されるというので初日に観に行った(クリスマス・イブなのに)。事件にそれほど興味があったというわけではないが足立正生監督がどうこの逆行した社会でこの事件を映画にするのかに興味があった。ただそこまで過激という感じがしなかったのは、この映画は家族というものを描いていると思ったからだ。
だから主人公の川上哲也の気持ちもわからないではない。父と兄が自殺して、母は統一教会に献金しまくる。自分たちの生活を犠牲にしてまで宗教にのめり込む母は異常なのだろうか?子供たちを巻き込んでしまったと言えるかもしれないが、川上哲也はそんな母から離れて自立していたはずである。それでも不満が復讐に向かうのは、彼があまりにも孤立していたからではないか?事件を起こした後に妹が出てくるのだが、彼女が兄の行為を正当的に受け止めるのは良かったと思う。彼女が間違った思想の持ち主とかではなく、家族なら当然なのかと。妹の存在がこの映画ではポイントだった。
宗教二世の問題もあったが革命家二世の問題も浮き彫りにしていたのは公平的で良かった。あの人の娘なのかな?革命家の娘も辛いものがあるのだ。親に恵まれる人はそんなにいないと思うが安倍首相もそういう家族の中で育ってきた宿命みたいなものを感じる。ただその親に反発出来なかった。それが統一教会に党自体か日本全体が乗っ取られる形になったのだ。それを今の政府がどうにも出来ないのなら、こういう事件は起きてくるだろう。それを冷静に捉えた映画だと思う。
けっして川上哲也を評価した映画ではないのだ。