戦時下の綱渡り的恋愛映画
『コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って 4Kレストア版』(1993年/タジキスタン)監督:バフティヤル・フドイナザーロフ(1965-2015) 出演:パウリ―ナ・ガルヴェス、ダレル・マジダフ
バフティヤル・フドイナザーロフの二作目は、相変わらず話の展開はよくわからないが(むしろそれがこの監督の語り口なのかも)ラブストーリーである。戦時下というのは後半になって戦車が出てきたりするが、映画のメインは日常での恋物語だった。
都会風の娘に地元(ヤンキーな青年)の青年が恋をして、ロープウェイを舞台に綱渡り的恋を展開するという内容だろうか。そのロープウェイが魅力的な舞台になっていた(ロミジェリのバルコニーのような)。
ロープウェイのから映し出す下界の様子とか滑稽に描かれるのだが、それは監督の見た世界かもしれない。その映像が見事である。彼女が彼を振ってロープウェイに乗り、それを追いかけるシーンとか、恋愛映画の数々の別れを描いたシーンの中でも特筆するに値する。
その中で道路を過ぎっていく戦車とかまさに今日のウクライナやロシアの状況なのだが、その中で恋愛映画を作ったということだろうか?彼女と彼は民族対立の中にいるのだと思うが、その部分を厳密に描けなかったのはタジキスタンの社会情勢があるのだろう。そこから脱出して新しい文明社会に憧れるというのは先に見た『スーツ』と同じだろうか?ただその文明社会がロシアのモスクワなのだ。
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