夢と現実
『ブルーバレンタイン』(2010/アメリカ)監督デレク・シアンフランシス 出演ライアン・ゴズリング/ミシェル・ウィリアムズ/フェイス・ワディッカ/マイク・ヴォーゲル/ジョン・ドーマン
解説/あらすじ
結婚7年目のディーン(ライアン・ゴズリング)と、シンディ(ミシェル・ウィリアムズ)は、娘のフランキーと3人で暮らしている。長年の努力の末、資格を取得し、病院で忙しく働いてるシンディに比べ、ディーンの仕事は上手くいっていない。お互いが相手に不満を抱えているが、口に出すことで平和な生活の崩壊することを恐れている。出会った頃の2人は、いまとは比べ物にならないくらい夢と幸せに満ち溢れていたのにもかかわらず…。夫婦の過去と現在が交差しながら、愛の終わりと始まりが重なり合っていく――。
GYAO!の無料映画で配信中なので未見の人はぜひ見てほしい。悲恋映画ではベスト1かな。この映画から『花束みたいな恋をした』が出来たのかと思うぐらい内容は似ているが、うな重とお子様ランチほどの違いがある。お子様ランチが好きな人もいるだろうが、ここはやっぱ大人の苦い体験の映画を。
恋愛状態と実際の夫婦生活の理想と現実を描いたものだが、ライアン・ゴズリングの変わりようがリアリティがある。ミシェル・ウィリアムズも恋愛時代の輝きと人妻時代の苦労と。男の側からすれば楽しい家族を作りたかったのじゃなかったのか?ということになると思うのだが。
伏線として、シンディの両親が結婚したのに仲が悪いというのがあった。彼女は恋愛は冷めると思っていたのだ。祖母のアドバイズは、大切にしてくれる人を選べということだった。
その点ディーンは文句がない人だったはずだ。老人ホームでは老人に優しい男だし、何より自分の子供じゃないシンディの妊娠を受け入れ家族になりたいと言ってくれた人だった。
子供がいる夫婦生活という中で、いつまでも成長しないディーンに対して現実を見て苛ついてしまうシンディ。それはディーンが望んでいた結婚生活のあまりにも不安定な生活にシンディは耐えられなくなっていくのだ。
一つは娘の問題があるのだと思う。血がつながっていない娘と仲良しすぎて子供すぎるディーンとの関係。それを思うと将来的な不安に思うのが女親として気持ちかもしれない。娘の気持ちを予測してしまうのだ。娘と夫の感情としてあるの部分に対する不安。このまま行ったら娘が夫を愛しすぎる不安もあるし、逆に嫌われていく不安もあるのだ。何よりも安定を求めるシンディなのである。娘との映像に始まり娘との別れに終わる映画でもあった。
前半は現実のディーンの不安定さにスポットを当てながら次第に恋愛時代の夢の時間を紡ぎ出していく。ラブホで夫婦で息抜きというのがなんとも生活感が出ている。でもお気に入り音楽テープを作ったよな。その瞬間だけが頂点にある幸せ(音楽による影響もあるんだよな)。そう言えばオリビア・ニュートンジョンが亡くなったというニュースが。彼女の曲が青春時代だった人も多いはず。