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実話だが、それ以上に映画の作りが上手い

『キリング・オブ・ケネス・チェンバレン』(2019年/アメリカ/83分)【監督】デビッド・ミデル 【キャスト】フランキー・フェイソン,エンリコ・ナターレ,アニカ・ノニ・ローズ,スティーヴ・オコネル,ベン・マーテン,ラロイス・ホーキンズ

彼はなぜ警官に殺されたのか?
本作は、無実の黒人が白人警官に殺害されるまでの90分間を描くリアルタイム進行形サスペンス。ハリウッド俳優<モーガン・フリーマン>が、人種差別を扱い、アカデミー賞、ゴールデングローブ賞ノミネート実績がある『インビクタス』のプロデューサー<ロリ・マクレアリー>とタッグを組み、製作総指揮を担った。モーガンは、「この映画は、法執行官がいかに間違ったアプローチをしているかを真にドラマチックに描いたものです。そして、この事実を広めることが私たちにできる最善の方法だと思います。」と語っている。
映画批評サイト「ロッテントマト」では批評家97%、観客85%と最高の評価を獲得。主演のフランキー・フェイソンは実在した人物を演じ、手に汗握る熱演で、アカデミー賞の前哨戦であるゴッサム賞で最優秀主演男優賞を受賞。さらに、衝撃的な内容が様々な議論を呼び起こし、各国の映画祭で圧倒的な存在感を残した。メディアからも「俳優たちの生々しい演技に目を奪われ、心をかき乱されるストーリー」や「まさに灼熱の告発」、「恐ろしく、力強く、生涯忘れられないほどの名作」のなど絶賛の声が続出している。
【STORY】
2011年11月19日午前5時22分。双極性障害(躁うつ病)を患う黒人の元海兵隊員ケネス・チェンバレンは医療用通報装置を誤作動してしまった。その後まもなく、白人の警官が到着した。ケネスは緊急事態ではなく、間違いであると伝えたにも関わらず、警官には聞き入れてもらえない。家のドアを開けるのを拒むケネスに対して、警官は不信感を抱き、更には差別的な表現で侮辱し始める。そして、警官到着から90分後の午前7時、ケネスはドアを壊して入ってきた警官に撃たれ、死亡する。何の罪も犯していないケネスは、なぜ警官に殺されなければならなかったのか。今こそ知るべき世界の実態がここにある。

こういうサスペンス・ドラマの作りはアメリカ映画は上手いよなと感じる。ほぼ時間通りにリアリティある現場で起きたことを映画で見せる。警官の中にもこれはヤバいことになると感じる人がいたり、被害者がどんどん警官から追い詰められていく過程がわかりやすく描かれていく。

途中息子に電話してこのお前とも今生の別れだ、みたいな話になったり、心配した姪っ子が警官がドアを突き破る現場に来ていたり。差別的な白人警官が登場するのも(でもこれは後で実際の状況を録音したテープとかで明らかにされるから事実なのだ)。

こういう白人警官は外せばいいと思うんだけど、偉くなってしまうのかね。黒人警官もいたのに、状況が最悪の方向へと流れていく。それは警官という権力を持つものが不服従の態度を見せるとすぐに悪人と決めつけてしまうからだ。

その恐怖を黒人側から描いているのだと思うが、臨場感あふれる音の使い方やカメラの撮り方も上手いと思った。

なによりラストで実際に行われたテープを流すのだ。そして被害にあった黒人の写真と。

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