アフリカ・リズムとWSQが出会ったジャズ
World Saxophone Quartet『Metamorphosis 』
Hamiet Bluiett — baritone saxophone
Arthur Blythe — alto saxophone
Oliver Lake — alto saxophone, soprano saxophone, flute
David Murray — tenor saxophone, bass clarinet
Chief Bey — asiko, signal drum, shakere
Mor Thiam — gmba, gabala, gum gum, rain stick, bgnn
Mar Gueye — limbe, m'beum m'beum, gring m'biss m'biss
Melvin Gibbs — electric bass (on 1,2,5)
"The Holy Men" (Bluiett) - 2:48
"Lullaby" (Thiam) - 4:51
"Metamorphosis" (Blythe) - 3:28
"Su Mama Ah Zumu" (Murray, Thiam) - 6:25
"Africa" (Lake) - 8:54
"Ballad For The Blackman" (Murray) - 7:52
"Masai Warrior's Dance" (Bluiett) - 5:14
"Love Like Sisters" (Lake) - 4:07
"Lo Chi Lo" (Murray) -6:57
"Feed The People" (Bluiett) - 10:56
今日も「ジャズ・トゥナイト」のアフリカ・ジャズの流れを受けて、アフリカン・リズムのアルバムです。WSQ(ワールド・サクソフォン・カルテット)はオリジナル・メンバーがいたジュリアス・ヘンフィルがいた頃はサックス4人だけのグループだったのですが、ここでアフリカン・リズムを入れることでポップになった感じです。学術肌のヘンフィルよりもアーサー・ブライスの方はメジャーな感じですかね。このアルバムはジュリアン・ヘンフィルが抜けたこともあり、あまり評価が高くありませんでした。
でもいま聴くとアフリカン・リズムが心地よい。けっしてWSQの音楽と反することはなく、むしろ彼らのアフリカン・リズムとの融合性を示していると思います。それは一曲目のハミエット・ブルーイット"The Holy Men"を一聴すればわかると思います。
二曲目"Lullaby" (Thiam)はアフリカン・ミュージック寄りのジャズでヴォーカルが入るのが心地よいです。アフリカの自然のイメージですね。そういうイメージを持つのが正しいのかは別にして。
"Metamorphosis"は新メンバーアーサー・ブライスのタイトル曲です。ここで真価が問われるわけですが、それほど悪くないと思います。WSQのオリジナルなジャズは保たれたままで、刺激的です。WSQの生命線は、ハミエット・ブルーイットのバリトンとデヴィッド・マレイのバスクラにあるのだと思います(低音のリズム・セクション担当)。そこにオリバー・レイクともう一人のアルト・サックスが加わることによってハーモニーが生きてくる。アーサー・ブライスはそのアルト・サックスでけっして劣ることはないミュージシャンです。
"Su Mama Ah Zumu"の曲が面白い。アフリカの言葉が日本語の発音に似ていて「増山、増山、車、車」と空耳してしまいます。この曲なんか、アフリカの音楽とジャズの上手くいった「出会い」という感じがします。
全編に醸し出されるアフリカン・リズムが心地よいアルバムで、WSQの新メンバーのアーサー・ブライスも悪くないです。
(ジャズ再入門vol.65)
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