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四月鬱にお薬出しときました
ルイ・アームストロング 『Satch Plays Fats』(1955年)
T.S.エリオットの詩「四月は最も残酷な月」を身を持って体験している。
四月は最も残酷な月、リラの花を
凍土の中から目覚めさせ、記憶と
欲望をないまぜにし、春の雨で
生気のない根をふるい立たせる
(T.S.エリオット『荒地』から岩崎宗治訳)
リラの花ではなく、桜があっちこっちに咲き乱れ、豪華な花は毎日のようにネットにアップされ、この季節はどこかで浮かれ騒いでいる中で己一人部屋の中に閉じこもってしまう。俳句を作っても誰からも見向きもされない。新生活とかの話題が耐えられない。旧生活そのもの。何も変えられない。鬱期。
花粉症や低気圧の鬱状態というのもあるです。だいたい朝、聞く音楽が浮かばない。浮かんだとしても懐メロばっかで、余計に気分が沈む。激しいジャズもイライラするだけだし。メロウ系は鬱を増進させる。
そんなときの処方箋として、サッチモのジャズは心癒される。朝の連続ドラマ『カムカムエヴリバディ』でも話題になったとか。一度も観たことがないのですが。まあ、その連続ドラマも終わって「カムカムエヴリバディロス」になっている人も多いと思います。
サッチモはアルバム選びが難しいのは、時代が古い人だけにオリジナル・アルバムよりもベスト盤とか多くなって、それも悪くはないのですが、アルバムとしての統一感にかける。そんな感じで探しましたら、このアルバムを見つけました。
54年録音の『プレイズ・W.C.ハンディ』と同じ頃に録音されたファッツ・ワラーのトリビュート曲。ファッツ・ワラーを知らない人も多いと思いますがブギウギ・スタイルの陽気なスイング・ジャズのピアニストです。私もあまり知らないのですが。
共演している女性歌手ヴェルマ・ミドルトンで初めて聞きます。サッチモのトランペットがバックで盛り上げサッチモの歌が続く「ハニーサックルローズ」。一曲目からサッチモ節全開で他のメンバーも粒選りな感じでいいです。
このへんの録音はそれぞれの楽器が分離しているから聞きやすい。ただこの録音はノイズが入りますね。そこは目をつぶって。