阿部薫のジャズが終わるとき
『アカシアの雨がやむとき』阿部薫(1971/ 東北大学教養学部教室)
阿部薫 (bcl #1,as #2-3,harm #2)
佐藤康和 (per)
1.アカシアの雨がやむとき
2.チム・チム・チェリー~暗い日曜日
3.恋人よ我に帰れ
阿部薫である。最初に聴いたのは風変わりなジャズ喫茶で客が誰もいないときにフリー・ジャズがかかっていた(アイラーだったかな)。記憶が曖昧だ。アイラーを好きだと言ってしまったのかな。そのときにマスターがかけたのがこのアルバム。動けなくなって、それからもう一枚フリージャズをかけてくれたのだが、あまりにも印象が強くてすぐにレコードを探したのを覚えている(結局見つけたのはずっと後にCDSで再発されたときなのだが)。
精神状態がよくないと持っていかれます。よく阿部薫が好きだという人がいるけどあまり友達にはなりたくない。大ぴらに宣言する人は、隠れファンぐらいなら話があいそうだ。こんなアルバム毎日聴かされたらたまらんですよ。
一曲目はドルフィーのバスクラのようですが、ドルフィーにはまだ祈りの気持ちがあるのです。阿部薫は無神論者のようで聴き通すのは辛いです。二曲目のハーモニカもちょっと辛い。アイラーとかローランド・カークのような祭り的な陽気さがないのです。阿部薫に陽気さを求めるのもどうかしているけど。やっぱアルトがいいかな。メロディーが聞き取れるとホッとします。
ドラムの人はがんばっていると思います。阿部薫に合わせようとしているは感じられます。でもどこまでも阿部薫は一人で吹いています。
(ジャズ再入門vol.88)