バカップルのロマンポルノでもないヒロインの魅力
『MORE モア』( 西ドイツ/ フランス/1969)監督バーベット・シュローダー 出演ミムジー・ファーマー/クラウス・グリュンバーグ/ハインツ・エンゲルマン/ミシェル・シャンデルリ
以前取り上げたピンク・フロイドのオリジナル・サウンドトラックの映画『MORE モア』を観てきました。
だいたい予想通りの映画だったのですが、思ったよりミムジー・ファーマーが可愛すぎた。当時のファンションもあるのかな。ミニ・スカートのショートカットでツイッギーを思わせる。それで脱ぎっぷりがいいんです。今回はそんなミムジー・ファーマーの特集だったのです。初めて知る女優ですが、この映画一本で抜きん出ている存在だとわかりますね。
映画の舞台がイサビ島という南国の太陽と海のロケーションも詩的な感興をそそる。イサビ島の夕陽は世界一だという人がある。それがピンク・フロイドのアルバム・ジャケットだったのです。風車は「ドン・キホーテ」を模したもので、無謀に風車に戦いを挑む若者を戯画的に撮ってます。薬でラリっているのですが。
60年代後半のヒッピーとドラッグ文化というような映画。イビサ島のロケ地が『シェルタリング・スカイ』の世界を思い出させます。砂漠ではないですけど焼け付く太陽と飢餓感(薬物依存症)と幻想の島。それがなければロマンポルノな映画でしょうね。まあ、日活ロマンポルノに影響を与えたかもしれない(ゴダールのスタッフだった監督ですし)。
ドイツ人の若者(西ドイツというのも意味がありそう)がパリに出てそのパーティで知り合う高級娼婦的なヒロインとゆきずりの恋を描くファム・ファタールものです。興味本位でドラッグにハマっていく。最初はヒロインのドラッグを止めていたのに、彼の方が虜になってしまった。結果的にドラッグ死は彼にとっては天国だったのかもとも思えます。彼女を失わなかったので。逆の立場だったらもっと辛かったかもしれないです。まあ、今から見るとバカップルのロマン・ポルノですけど、あの時代の自由さは感じられます。