不死身の男の喜劇性
『SISU シス 不死身の男』(2023年製作/91分/R15+/フィンランド)監督:ヤルマリ・ヘランダー 出演:ヨルマ・トンミラ、アクセル・ヘニー、ジャック・ドゥーラン、ミモサ・ヴィッラモ、オンニ・トンミラ
同じフィンランド映画でもアキ・カウリスマキとは趣が違うが一つだけ共通点があった。シスも不死身ということは機械的であり、感情を顕にしないというのも『『過去のない男』と似ていた。シスの場合自己修復機能が付いたロボットと考えれば納得がいく。まあすでに人間ではないよな。
相手のナチスも人間としての感情を失ったシステムの歯車としてロボット兵器並だった。ロボット同士の戦いと思えば現在の戦争を暗示しているのかしれない。ただスプラッター趣味は人間の欲望なのか?復讐心がそうさせるのか?まともに見ようとすると笑うしかない。その部分で喜劇的でさえあると思うのだ。
この映画で戦争の悲惨さを学ぼうなんて思う人はいないと思う。カタルシスを求めてスプラッターシーンを見つめていられるのは、それが偽物でありどこか安心した部分があるからだと思う。それはあまりにも現実で悲惨な死体を見せられている世界をファンタジーにしておこうとする映画なのかもしれない。涙を流すより大いに笑える映画なのだ。
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