ジョン・ゾーンまさかのマサダ遠花火
John Zorn"Masada: Live At Tonic 2001!"
だいたい私のジャズの追っかけも2000年ぐらいで止まっているのですが、最後に追っかけたのがジョン・ゾーンでした。それからは特別にジャズというジャンルでもなく民族音楽の方向に向かって行ったのかな。まずジョン・ゾーンですけど、様々なユニットがあり代表作を上げようと思えば数限りなくあると思うのです。一番は『ネイキッド・シティ』だと思うのですが、ジャズの形を考えた場合、アルト・サックス+トランペットによる改革者のスタイルがあると思うのです。
チャーリー・パーカー&ディジー・ガレスピー、エリック・ドルフィー&ブッカー・リトル、オーネット・コールマン&ドン・チェリー、そしてジョン・ゾーン&デイブ・ダグラスのマサダですね。アルト・サックス+トランペットによるスタイルがジャズの歴史を切り裂いてきた。まあ、マイルス&コルトレーンというのもありますが。
ジョン・ゾーンのマサダはジューイッシュ(ユダヤ)音楽をジョン・ゾーンなりにまとめて「マサダ」シリーズとして10集までカルテット(ピアノレス)でアルバムを出して、その派生からさまざまスタイル(エレトニック・マサダとか)でアルバムを出します。そのコアとなるのが最初に結成されたマサダでそのライブ録音盤がこのアルバムです。
ライブ録音盤を勧めるのは、余裕がある人はマサダ・シリーズ10集集めてもいいのですが、ライブ演奏は、その中の代表曲をピックアップして取り上げている。そしてライブ演奏盤もいろいろあるので、どれが一番かは言いにくい(すべてを聴いたわけでもないので)のですが、この「ライブ・アンド・トニック」はNYのジョン・ゾーンの本拠地で行われたライブだけあって、盛り上がっています。二枚組で曲目もいい。日本でのライブの時の演奏と重なるのもある。その時のライブ盤があればそれを勧めたいのですが。ライブを観て(聴いて)涙が溢れてきたのはマサダが最初で最後でした。
「マサダ」という特別な歴史。古代イスラエルでマサダ教団(原始ユダヤ教)がローマ軍に包囲されて、抵抗した後、集団自決したという沖縄戦みたいな悲惨な歴史があるのです。それでもイスラエルは支持しませんけど。音楽は別というか、ジョン・ゾーンのマサダは別ですね。
演奏も各メンバーそれぞれが持ち味を出して素晴らしい。中でもジョーイ・バロンのドラム・ソロは聴きどころになっていますね。
(ジャズ再入門vol.29)