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引退しても亡霊のように駆り出される探偵映画

『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』(2023年製作/103分/G/アメリカ)監督:ケネス・ブラナー 出演:ケネス・ブラナー ミッシェル・ヨー、ジェレミー・ドーナン、ティナ・フェイ

アガサ・クリスティの生んだ名探偵エルキュール・ポアロが、イタリアの水上都市ベネチアを舞台に不可解な殺人事件の解決に挑む姿を描いた本格ミステリー。ケネス・ブラナーが監督・製作・主演を務めた「オリエント急行殺人事件」「ナイル殺人事件」に続くシリーズ第3弾で、今作でもブラナーがメガホンをとり、自らポアロに扮した。

ミステリアスで美しい水上の迷宮都市ベネチア。流浪の日々を送る名探偵エルキュール・ポアロは、死者の声を話すことができるという霊媒師のトリックを見破るために、子どもの亡霊が出るという謎めいた屋敷での降霊会に参加する。しかし、そこで招待客のひとりが人間には不可能な方法で殺害される事件が発生。犯人が実在するかさえ不明な殺人事件に戸惑いながらも、真相究明に挑むポアロだったが……。

原作はクリスティの小説「ハロウィーン・パーティ」。物語の鍵となる霊媒師レイノルズを「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」でアジア人で初のアカデミー主演女優賞を受賞したミシェル・ヨーが演じる。そのほかの共演に「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」のジェレミー・ドーナン、「サタデー・ナイト・ライブ」のヘッドライナーとしても知られる俳優でコメディアンのティナ・フェイら。

最近、名刑事や探偵たちの老後という作品が多いが、これもその一つだった。シェイクスピア映画で有名なケネス・ブラナーで期待したのだがいまいちだったな。ディズニー資本だったのか。ゴッシック・ミステリーだが今流行りのホラー要素もあるというような。

そんなところでミッシェル・ヨーが霊媒師の演技か。アカデミー女優賞もこれは悲しい感じがする。前半で殺される役だし。そういう使い方なんだよな。

映像的にベネチアの水の都とコロナ禍と関連するような話でそれなりのストーリーだと思うが、最後の解決の仕方がクリスティーなのか。いかにもめでたし、めでたし的な解決で深さがないよな。これなら『犬神家の一族』とか横溝作品のほうが面白いと思う。最近でも『八ツ墓村』とかドラマでやっていたけど。年老いた探偵の花道を飾る作品というような。その中に少年・少女の怨念みたいなものがあるのだが。

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