お盆に聴きたいジャズ
Hannibal Marvin Peterson"The Angels of Atlanta"(Enja/1981)
台風が温帯低気圧に変わっても強風が吹き荒れる明け方です。台風の強風にも負けないトランペットといえば「ハンニバル」マービン・ピーターソンですね。「ハンニバル」と言えばカルタゴの将軍で象に乗ってローマ軍を手こずらせたという。最終的には負けてしまうんですけど。
このアルバムは、黒人に対するレイシズムのコンセプト・アルバムになっています。アトランタで亡くなった子供たちに捧げられたのは、公民権運動でのアラバマで起きた教会爆破事件が有名でコルトレーンの「アラバマ」はその時に作られた曲ですね。
このアルバムもそうした過去の事件のことだと思っていたら、今回ネットで調べたら1981年にアトランタで黒人自動連続殺害事件があったので、それに対して作られたアルバムかもしれないです。
Netflixドラマ「マインドハンター」シーズン2、8月16日配信決定 ─ デヴィッド・フィンチャー、黒人児童連続殺人ほか3つの実在事件描く https://theriver.jp/mindhunter-s2-release-date/
まず一曲目のタイトル曲はのマービン・ピーターソンのトランペットに導かれてハーレム少年合唱団の歌が響き渡る。そして、ジョージ・アダムスのテナーサックスの咆哮はいつもどおりに熱い演奏です。それに刺激されてかメンバー全てが熱いですね。ケニー・バロンもドン・ピューレンかと思うぐらい熱いです。そしていよいよ「ハンニバル」の登場となると燃えないわけがない。
二曲目は、静寂さを漂わせたケニー・バロンのピアノからチェロ奏者であるDiedre Murrayの美しい旋律(この人はハンニバルの片腕的存在かもしれないと思うほどハンニバルのアルバムには欠かせない存在です)。全体的に静かな余韻を残す曲ですね。
3曲目はパット・ピータソンという女性ヴォーカルをフューチャーした彼女が作曲した曲ですね。そのパワフルなヴォーカルはマービン・ピーターソンの兄妹かもしれないです(不確定情報)。
そして「マザーズ・ランド」から「Sometimes I feel like a motherless child」の繋がりが見事です。
(ジャズ再入門vol.92)