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ずっーと聴いていたいズートです
Zoot Sims Quartet"Zoot at Ease"(1973)
Hank Jones(p.)
Louis Bellson(ds.) 1, 4 to 7
Grady Tate(ds.) 2, 3, 8 to 13
Milt Hinton(b.)
コルトレーンとは違う陽気なソプラノは、一曲目の「Softly, As in a Morning Sunrise」の演奏で明確ですね。これで朝の目覚めもバッチリです。ズートという呼び名は「酔っぱらい」という渾名らしいのですが、サックスを持たせると生き生きとジャズります。ユージン・スミス『ジャズ・ロフト』でもズートは一晩中演奏して仲間がぐったり寝ていても一人でドラムに座って足でリズムを刻みながらサックスを吹いていたそうです。そのパワーも凄いですね。
二曲目はグッとバラードです。こういう何気ない曲でもズートは歌心たっぷりに歌い上げます。「In the Middle of a Kiss」を他のミュージシャンで検索したら、ジェリー・ロンドンの持ち歌でした。随分印象が違います。
三曲目もエリントンの曲ですけど、あまり他のジャズ・ミュージシャンが演奏しないアップテンポの曲です。このへんの選曲の妙ですね。グッと落ち着いたバラードの後にアップテンポで盛り上げる。
5曲目は映画音楽『ローズマリーの赤ちゃん』のテーマ曲。いい曲ですよね。それをソプラノでモダンに仕上げている。コルトレーンもそうですが、こういう映画音楽をモダンなジャズに仕上げてしまう才能が素晴らしいです。オリジナルはけっこう怖い曲なんですけど。