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ジョーカーに嫉妬するバットマンはスーパーマン化してないか

『THE BATMAN -ザ・バットマン-』(アメリカ/2020)監督マット・リーヴス 出演ロバート・パティンソン/コリン・ファレル/ポール・ダノ/ゾーイ・クラヴィッツ/ジョン・タトゥーロ/アンディ・サーキ

解説/あらすじ
優しくもミステリアスな青年ブルースは、両親殺害の復讐を誓い、夜は黒いマスクで素顔を隠し犯罪者を見つけては力でねじ伏せ、悪と敵対する存在の”バットマン”になろうとしている。ある日、権力者が標的になった連続殺人事件が発生。その犯人を名乗るのは、史上最狂の知能犯リドラー。ヤツは犯行の際、必ず”なぞなぞ”を残し、警察や世界一優秀な探偵のブルースを挑発する。いったい何のために犯行を繰り返すのか?そして暴かれる、政府の陰謀とブルースにまつわる過去の悪事や父親の罪…。追い詰められたその時、彼の心の中で、何かが音を立てて壊れ始めた―。あなたは世界の嘘を暴き、人間の本性を見抜けるか――。

「ジョーカー」が悪なのに人気が出てしまったので「バットマン」の立場がなくなった。人気商売の辛いところか。嫌われ役でいいという開き直りが欲しい。正義を強調するより悪で悪を制するいう本来の姿のままでいいと思うのだが、敵もはっきりしない。

今回はバットマンが「バッド(悪)」ではいられずどっちつかずの「バットマン(蝙蝠男)」になってしまった。それが本来の意味なのだが「バッドマン」でいたのにと思うと残念な気がする。ただの正義の味方なら「スーパーマン」でいいのだ。

バットマンが莫大な財産を継いでいる貴公子だから特権階級として「ゴッサム・シティ」の影なる支配者で良かったのだ。今回は、アノニマスというイマイチ敵がはっきりしない匿名性の犯罪者で裏社会の悪人を暴露するというわかりにくいストーリーになってしまった。それで悩める「バットマン」というしょうもないヒーロー像に苦心するのだ。それこそアノニマスの思うつぼだと思ってしまう。

キャットウーマンも自身の復讐のために出てくるのはいいのだが、共通の敵としてバットマンの味方になって、悪女としての個性がなくなって、結局バットマンの恋人役みたいな従属した位置に留まるのだ。徹底的に男性社会に反する悪女というポジションが欲しいと思ってしまった。今回のストーリーの複雑さはいまいちキャラ設定が曖昧になってしまったところにあると思う。

キャットウーマンの話とアノニマスの話は別立てでスッキリさせた方が良かった。ペンギンも出てきたけどいまいち。ジョーカーはアノニマスと重なるところがある。ゴッサム・シティは悪の巣窟でいい。わざわざ洪水起こしてバットマンを一市民まで落として破壊する必要はなかった。それならば革命を起こさないと。

相互扶助的な一市民になることによってバットマンが正義のヒーローでいられる構図がそもそもアノニマスの犯罪者に取っては許しがたいのだ。正義の味方はスーパーマンに任せとけばいいのだ。そのままゴッサム・シティが存続するのだから。まあ、続編の期待が出来たのはいいのかな。

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