
シン・短歌レッスン149
NHK短歌
第一週の川野里子は初心者編だけど技術論なので、確実にアップ出来ると思う。今回は疑問形の使用。けっこう最近、疑問形も使っているんだと思うのだけど今日の一首も疑問形だった。
三角関係より
三体問題
君たちはどう生きるか?
クエスチョンマークは付けたほうがいいのかな。疑問形とか命令形とか読み手に緊張感を与えると思う。
なにゆゑか
ひとりで池を
五周する人あり
算数の入試問題に 大松達知
あまり整っていないな。わたしの短歌もそうだけど。最近、定型を気にしなくなった。それでも初句の疑問形は定型通りにあとの文は入試問題だからこの形でいいのかな。三句目が七音。ニ音は四区目と考えると「算数の」で七音、八音でほぼ定型だった。「に」は付けたほうがいいのか?体言止めも出来るけど。「に」がないと初句も問題になってしまうのか?わからん。
これはまだ
私だらうか
手のひらに
ひかりをためて
顔を洗へり 門脇篤史
そういえばヒコロヒーは何ゆえ化粧をしないのだろう。素顔に慣れきってしまったが、
なにゆゑか
素顔のままで
ヒコロヒー
歌のこころも
素肌美人か
褒め過ぎか。でも化粧した画像見るとインパクトが強いな。初句と結語を疑問形にして解答を与えた。疑問形は読み手に尋ねる場合もあるが自分時自身にも尋ねる。
消えゆく言語
たとへば
チョロテ語といふことば
人間をなんと
呼びて消えしか 川野里子
これはよくわからん歌だが結句に疑問形になると全体に係ってくるとか。言語が消えたぐらいで人間は消えないと思うが。言霊信仰の歌だろうか?
<題・テーマ>川野里子さん「飛行機」、俵万智さん「数字を入れる」(テーマ)
~9月16日(月) 午後1時 締め切り~
<題・テーマ>大森静佳さん「架空の生き物(テーマ)、枡野浩一さん「ごめんね/すみません」(テーマ)
~9月30日(月) 午後1時 締め切り~
百人一首
今日も『NHK短歌 2024年8月号』のテキストからよさそうな歌を。63から。9月号はどうしようかな?
63 手をのべてあなたとあなたに触れたとき息が足りないこの世の息が 河野裕子
ニコ・ニコルソンはTVの方にも出ていたな。『呪文よ世界を覆せ』で短歌漫画を執筆中。彼女が最初に感動した河野裕子の辞世の歌。定型に馴染んでいるといつでもその場で即興で歌を読めるようにしておくというのを読んだことがある。息をするように短歌を読むわけだが、逆説的にそれが読めないことで最後に大きな息をつくような歌か?
ニコ・ニコルソンは漫画で短歌を表現しているわけだから一歩先を行っているのかもしれない。マンガ大賞の原作応募に出したのだけど、もうニコ・ニコルソンでやられていたわけだった。
64 サンダルの青踏みしめて立つわたし銀河を産んだように涼しい 大滝和子
松村正直の短歌入門「直喩」。直喩が類似構造をつくるのではなく、まったく別世界を示す直喩があるという。わたしと対峙する宇宙(銀河)。これは高等テクニックだ。
迷走颱風
追いかけて
TVに釘付け
茹卵焦がすような
蒸し暑さ やどかり
大滝和子は「短歌研究2024年8月号」でも特集が組まれていた。宇宙短歌だった。哲学とかイメージの雄大さが特徴か?
それぞれにほぐして吾と地球儀を織りあわせているマーラーありぬ 大滝和子
生物がシネマの切符売りているビルのかたわら懸かる三日月 大滝和子
65 死にし子のなきがら負ひて来しよきに酸漿 のごときに入日を見たり 鈴木幸輔
戦時に子を亡くしての「酸漿」五首連作という。「酸漿」という漢字は初めて見るな。
食用と観賞用でわけられるのか?
66 夜をこめて鳥のそら音ははるかとも世に逢坂の関はゆるさじ 清少納言
「覚えておきたい古典和歌」から。
67 とぼとぼと歩いてゆけば石垣の穴のすみれが歓喜をあげる 山崎方代
「昭和の歌人をよむ」から。「とぼとぼと」のオノマトペ、自然の散策の中に小さな「すみれ」が咲いている。「歓喜をあげる」という大げさな表現がユーモアを交えている。
68 次々に奔り過ぎ行く自動車の運転する人みな前を向く 奥村晃作
当たり前のことに注意を促す。それも短歌。
69 川べりに曼珠沙華揺れあれは母 感情ぜんぶが火だったころの 「毎日新聞」2023年7.3日
天野慶選。今日曼珠沙華が咲いていたので、気になった歌。新聞投稿欄とかの素人の短歌に惹かれることがある。
70 雪により細くなりにし路地ゆけばむこうを来る人ふと雪に消ゆ 樋口智子
錦見映理子「短歌と映画」から。『ファーゴ』を見て、それに合う短歌を見つけてくるのだが、これはいい。歌集から見つけてくるなんて正直凄いかも。映画から短歌を作ることはやっていたが見つけてくるのはそれなりに蓄積がないと出来ないな。俵万智の会。テーマは色だった。紅の涙というのは血が混じっているような涙。赤と緑とか、村上春樹の小説かとも思うがそういう対比表現(反対色)が見事ということだった。
71 みどりごは泣きつつ目ざむひえびえと北半球にあさがほひらき 高野公彦
おまけ。「1970年代短歌と<今の歌>」(シンポジウム)吉川宏志から。70年代はまだ古風な花など読まれた頃で古さと新しさが混然としていた時代だという。