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リチャード3世はスーパーマリオ?

『リチャード三世』演出・上演台本:シルヴィウ・プルカレーテ 出演佐々木蔵之介/手塚とおる/今井朋彦/植本純米(植本潤改メ)

NHKBS「プレミアムステージ」で。前半のモリエール『守銭奴』は寝てしまったのだが、シェイクスピア『リチャード3世』は、けっこう好きな作品なので録画して観た。

なによりもシルヴィウ・プルカレーテのスタイリッシュな演出か?それは出演者がほとんど男性ばかりで、ルーマニア人であるならばチャウセクス政権時の同質社会を感じさせる。

出演者がほとんど男性で男性社会のホモフォビア的なのかと思った。シェイクスピアの時代は女役も男性が演じたので、そのへんの歴史性は踏まえているのか?ただ書士役は女性だったので、勘ぐればシェイクスピアの妹を連想させる。あと子供はそのまま子供で倫敦塔に幽閉されるシーンの斬新さ。

リチャード3世は異質(醜さを際立たせた体型)だったのだが同質化(兄弟は皇子だから見てくれはいいのだ)の中で道化を演じることで女王に取り入れられる。その中で敵対する兄弟や師弟を排除していくのだ。同質社会の中での権力の握り方のようで、よく出来ていた。これはチャウセクス政権を批判した演出なのかもしれないが、安倍政権にも当てはまると思った。

オリンピックの時にスーパーマリオで道化役をやったのが、そうか安倍元首相は道化役者なんだなと思ったのだ。道化役者だから馬鹿にされることは称賛と変わらないのだ。

佐々木蔵之介は実際には醜さはないのだが体型の醜さを演出することでピエロになっていた。それは映画『ジョーカー』で演じたホアキン・フェニックス・タイプか?特にダンスシーンが強調されるのは、クラブでの道化役者としての目立ち方というようなことで注目されるのだ。

それは音楽にも言えるのだがサックスの三管ジャズ風。印象的なメロディーなんだが最後はカラオケ化する。それはジャズという異質なものの繋がりが同質的なメロディー化され同質的にリズム化することなのかなと思う。縦ノリの怖さを感じるのだ(酩酊の音楽)。

最後はリチャード3世も亡霊たちに嬲り者にされて死んでいくのだが、この構図はまさに今のネット社会を彷彿させる。叩かれるときは一気に奈落へ落ちていくのだ。その意味でラストのリチャード3世のセリフは普遍性を持つのだ。


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