そこで生きなくてもいいのでは?
『インスペクション ここで生きる』(2022年製作/95分/R15+/アメリカ)監督:エレガンス・ブラットン 出演:ジェレミー・ポープ、ラウル・カスティーロ、マコール・ロンバルディ
母にゲイであることを拒否されたどん底人生から這い上がるために海兵隊に入って男を上げるが、結局は母に理解されなかったという映画。監督の自伝的映画らしい。アメリカの保守性だろか?前近代的過ぎるので良くわからなかった。
まずキリスト教社会の保守性なのかな。なぜゲイがそんなに嫌われるのかいまいち理解できなかった。ただ母は16歳で子供を生んでシングルマザーとして育ててきたという。その中で共同体としてキリスト教社会が強く影響したのかな。警察官のようなんだけど、正義感がキリスト教の正義感なのか。もしかしたらレイプされたのかもしれなかった。そのへんの母の過去がもう少しわかると理解出来るのかもしれない。
そもそもこういう毒親はどこにもいそうで、母子関係に拘る息子も理解出来ない。母という存在に理想論を持ちすぎているような気がする。他者として認識できないのかな。ただ最悪な環境から抜け出すために海兵隊に入ったのなら、あまり母は関係がないのだが、最後まで母のためにという人生で、それを母に理解してもらいたいという。
例えばそれは共同体の映画なのだろうか?保守的にキリスト教共同体があって、そこからはみ出した者が海兵隊に共同体を求める。海兵隊の家族的な感じなのかな。仲間意識というか?そこはゲイとか人種とか関係なく仲間を守る人間だけが強いし名誉なんだという。
海兵隊の厳しい訓練の映画は、キューブリック『フルメタル・ジャケット』とかあったが、それ以上のものではなかった。キューブリックの映画は海兵隊に批判的なものがあったが、この映画ではある部分海兵隊の名誉を尊重する。その世界観が理解出来ない。アメリカのどこにも行き場のないものが名誉を求めて行く場所という感じなのか?虐めが正当化される時点で自分は駄目だった映画だった。
これがアメリカの現実という映画だとしたら、批評的な切り口はどこにあるのだろうか?ただ忍耐して強いアメリカの男になるという映画だったような気がする。ゲイであっても。真面目過ぎる映画なのか?そのところで息詰まるストーリーなのだが、それは映画としての褒め言葉になるのだろうか?もう少し遊び的な部分が欲しいような。むしろ問題提起型映画なのか?A24だから、多分その線だと思うが、それにしては最後海兵隊を肯定しすぎないか?最強の人間が作られても所詮ドローンのような戦争兵器には勝てないのだし、戦争は他者を認めない世界だということなのか?マッチョな男たちの世界は理解出来ん。
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