ソニー・ロリンズ『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』
1957年11月3日、NYのジャズ・クラブ、ヴィレッジ・ヴァンガード
ソニー・ロリンズ - テナー・サックス
ドナルド・ベイリー - ベース(午後の部)
ピート・ラロカ - ドラム(午後の部)
ウィルバー・ウェア - ベース(夜の部)
エルビン・ジョーンズ - ドラム(夜の部)
MJQ『ラスト・コンサート』の「チュニジアの夜」と「朝日のごとくさわやかに」と同じ曲が入っているのにこうも違う演奏なのか?と驚愕するソニー・ロリンズのライブ・アルバム。その鍵はピアノ・レスのワンホーン・トリオでリズムセッションだけで自由にロリンズがテナー・サックスを吹いているのでアドリブが凄い。MJQはクラシックの素養があるジョン・ルイスがきっちりコントロールしていますけど、このライブ(ヴィレジ・ヴァンガードというそれほど広くないジャズ・クラブのライブというのも、コンサート会場より身近で臨場感が出る演奏で私は特にライブ盤は好きです)盤はロリンズのアドリブに引っ張られてドラムもベースも必死さが伝わってきます。
ブルーノートという黒っぽさが売りの熱気あるジャズの雰囲気を伝えるレーベルですね。特に1500番台は、どれも名盤とされていて、ハードバップを楽しみたいのなら、ブルーノートの1500番台はお薦めです。音楽評論家の中山 康樹氏『超ブルーノート入門 - ジャズの究極・1500番台のすすめ』という本が出ているぐらい。あとブルーノートはジャケット・デザインも素晴らしいのでレコードで買って飾っておくのもいいですね(レコードプレイヤーのないお宅も多いでしょうから)。
もうひとつ、ヴィレッジ・ヴァンガードには、同じくテナー・サックス奏者のライバルというべきジョン・コルトレーンとジャズ・ピアニストの巨匠ビル・エヴァンスのライブ・アルバムは両方とも歴史的名盤ですね。そう言えばジョン・コルトレーンの『ヴィレッジ・ヴァンガード』(アゲインというフリー・ジャズに突入したコルトレーンのアルバムもあるので初心者の方は注意して下さい)には「朝日のようにさわやかに」(ここでは「朝日のごとくさわやかに」と言いたくなります、「ように」と「ごとく」の違いを聴いてみて下さい)が入っています。また聴き比べるのも面白いです。
話を戻して、昼の部と夜の部でメンバーが違います。そのドラムとベースの違いを楽しむのも通ですね。私は断然夜の部ですね。ジョン・コルトレーン・カルテットのドラマーであるエルビン・ジョーンズとやってますから。また、『テナー・マッドネス』ではコルトレーンと共演(テナー・サックス対決、「巌流島の決闘」ですね)していて、このアルバムも面白いです。
(ジャズ再入門No.2)