シン・短歌レッスン156
今日は作品批評(というか感想文レベルだが)。
三枝浩樹『夏の風立つ』
『短歌研究 2024.9月号』から、作品批評。まだ短歌の技術的なことはよくわからないので、内容から入っていくしかないのだが、趣味が合う合わないの問題なのかなと思う。この作品三十首は、漱石の小説を詠んでいた。
これだけだと作者の知り合いのことだと思うが、後に歌で次第に漱石の小説だとわかるようになってくる。「こころね」という各歌に挿入されたくり返し、これは先生の奥さんのことだと想像する。
厳密に書くと漢字ではなくひらがなで『こころ』なんだが。
登場人物が想像できるのがいい。文学好きなのだけどこれが「鴎外」だとあまり興味がわかない。「短歌研究賞」受賞作、坂井修一『鷗外守』はいまいちよくわからなかった。
この歌はおもしろいけど、他人がどんな本を読もうと勝手なのに、そうしてコントロールすると思ってしまうのだ。
青春時代だよな。読書の内容についてのこんな歌も。
句跨りなのか?でも字余りだよな。短歌は自由だ。
平出奔『この夏のどこへも行かなかった旅の短さとその前後について(2)』
(2)であるということは(1)もあるということなのか?けっこう挑戦的な書き方で面白い。1996年(平成8年)生まれ。若い。今ふうの短歌なのだろうか?
もう定型なんてほとんど必要としてない感じだ。
身体的じゃなく脳内で生きている感じがする。
佐藤モニカ『いにしへの盾』六十首
だいたい趣味的なことを詠むのは男性歌人に多く、女性歌人は生活とか家族を詠むのがいまいちだと思ってしまうのだが、佐藤モニカ『いにしへの盾』六十首はよかった。六十首もページが与えられているのだから特別なことなのだろう。
ちょっとドキってする歌だが、子が自殺したいとかではなく、母が癌で手術しなければならなくなったときのものだろうと思う。家族詠かと思ったら境涯詠だった。
手術が終わってベランダに鳥を見た情景だと思う。それがタイトルになっていた。
『短歌研究賞』は坂井修一『鷗外守』と山田富士郎『UFO』の二人同時受賞。山田富士郎『UFO』も趣味がちがった。天文が好きな人向け短歌。