フランス革命前に現れたもう一人のジャンヌ
『ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人』(2023年製作/116分/G/フランス)監督:マイウェン 出演:マイウェン、ジョニー・デップ、バンジャマン・ラヴェルネ、ピエール・リシャール 、メルヴィル・プポー、パスカル・グレゴリー バンジャマン・ラヴェルネ 、ピエール・リシャール 、メルヴィル・プポー、パスカル・グレゴリー
フランス王室もののスキャンダルを描いた映画。ルイ15世の愛人だったジャンヌの生涯をそれまでの美人女優でというのではなく、仕草や衣装で飾り立て成り上がっていく。どこにこの映画の魅力があるのだろうと思ったら、女優で監督のマイウェンの自己プロデュース力の凄さなのかと思った。
落ちぶれたとはいえハリウッドの大スタージョニー・デップをフランス映画に使いながら、フランス革命前のブルジョワジーの絢爛豪華さを見せる。実際にベルサイユ宮殿で撮影されたというのも衣装だけではなくロケーションも最高なわけで、その豪華さを見るだけでも価値ある映画なのかもしれない。それと対象的にヒロインは貧しい女(監督自身これは私の映画だと言っていた)が成り上がってフランス貴族のファッション・リーダーとなっていく。
映画的に言えば美人女優や演技力に定評ある女優を使えばいいのだが、そうじゃないところがこの映画のポイントで、最初はジャンヌに厳しい視線を浴びせるのも観客も宮殿の人々も一緒なのだ。もっとマシな女優がいるだろうとか、日本だったら人気の綺麗所を使っておけば間違いないというようなそれまでの男視線の映画なのだと思う。それが監督自らプロデュースすることでその力量も試されていたわけだった。実際に彼女はリュック・ベッソンと組んでハリウッドに進出している女優でもあり、そういうハリウッドの絢爛豪華な夢の部分をベルサイユ宮殿に見た立て映画を撮っているのだ。
これは例えば国王ルイ・15世がジョニー・デップだとして、ベルサイユという絢爛豪華な夢の世界がハリウッド的なるもので、それを手にする監督自身の自己プロデュースと成り上がりの映画なのかもしれない。その結末がフランス革命によって、ギロチンとなる結末で描いているのだが、さすがにギロチンのシーンはなかった。