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春陰やブルーノートを壁際に

今日はTwitterで#ブルーノート10選というTLが流れてきたので、今日はそれで。


何故、ソニー・クラークから始めたのか?私がジャズ喫茶育ちでジャズ喫茶でよくかかっていたアルバムが好きだったこと(ノスタルジー)もあるし、ソニー・クラークが日本だけで評価され愛され、それでいてけっして改革者でもないけど愛される所以はなんだろうと考える。やっぱマイナー感かな。これに尽きる。このアルバムは、選曲もよく特に一曲目の「ビ・バップ」の熱気と5曲目の「朝日のようにさわやかに」は哀愁感がある。また春になると必ず聴きたくなる「四月の想い出」とそんなジャズ・アルバムで「時さえ忘れて」しまうというのだから。ソニー・クラーク・トリオはもう一枚タイム盤もあり、こちらもジャズ喫茶人気盤.。George Duvivier (b), Max Roach (ds)が渋い通好み。だけど普通はブルーノート盤ですね。

メッセンジャーズのブルーノート盤はとにかく熱い。どれでもいいんですけど、『チュニジアの夜』は、アート・ブレイキーのドラミング(ナイヤガラロール)が目立つのでこれを選んだ。メンバーもベニー・ゴルソンがウェイン・ショーターに変った黄金期と言って良いですね。このアルバム(1960年)の後に初来日(1961年)して日本のジャズは青春時代だった!と来日盤にコピーが付けられました。そば屋の出前持が「モーニン」を口ずさんだとか。このアルバムには「モーニン」は入ってないですけど。普通『モーニン』を勧めるかな。

バド・パウエルのアメイジングシリーズは5集あって、この最後のものが一曲目「クレオパトラの夢」で有名で、聞きやすいということもあって、一番の人気盤。ポール・チェンバースとアート・テイラーのリズムセッションは文句なし。ただポール・チェンバースのアルコ(弓弾き)演奏がちょっと馴染めないかも(癖があって好きな人はすきなんだろうけど)。パウエルもピアノを弾きながら声を出しています(グレン・グルードみたい)。調子がいいとその声が大きく耳障りなんですが、それもパウエルの特徴の一つですから。

コルトレーンがブルーノートに残したただ一枚の代表作。「ソウルトレーン」「ラストトレーン」と他にありますが、やっぱ「ブルートレイン」でしょう。まだコルトレーンのカルテットが決まっていない時期なのでハードバップ・スタイルのコルトレーンですが、やっぱソロは凄い。他のメンバーを完全に引き離していますね。

コルトレーンの盟友ドルフィーのブルーノート盤は、入門盤とはいいがたいけどエリック・ドルフィーというジャズマンが不遇の時代にあってなかなかリーダー・アルバムが出せなかった。ドルフィーの一番のお勧めはブッカー・リトル(TP)とのクインテットのライブ盤「ファイブ・スポット」があまりにも有名で凄かったけど、ブッカー・リトルが23歳で夭折した。それからドルフィーはチャールズ・ミンガスの中心メンバーとして活躍したり、コルトレーンの元で刺激を与え続けるが、自身のリーダーアルバムは出せなかった。この後、アメリカではやっていけずヨーロッパに旅立ちます。そんなドルフィーの異空間なアルバム。ジャケットの時計の針が変です。

フリージャズの推進者、オーネット・コールマンのライブ・アルバム。アメリカでは評価されずオーネットもヨーロッパで評価されたのでした。それも寒い北欧の凍りついた空気(ストックホルムの雪の中のジャケットも秀逸)が異様に緊張感ある演奏。vol.2はオーネットがヴァイオリンも弾いていて楽しめます。

ちょっとハードなアルバムが続いたので聞きやすいグラント・グリーンのらしくないアルバム。実質ピアニスト兼アレンジャーのデューク・ピアソンがローダーみたいなものです。グラント・グリーンもいつもよりも控えめ(ファンキーな熱量はない)ですが、グラント・グリーンのシングルトーンのギターとヴィブラフォンのボビー・ハーチャーソンの絡みが素晴らしいのですね。テナー・サックスのジョー・ヘンダーソンも存在感を示してピアソンの計算されたアレンジの中で調和したジャズになっている。

アイク・ケベックの渋いテナーとボサノバが楽しい変わり種のアルバム。アイク・ケベックは日本ではそれほど人気があるわけでもなく、ブルーノートではスカウトとかやっていたみたいですけど、オールドスタイルのテナー奏者で、小節が聞かせるゴリゴリな演奏もあるが、ここではソフトタッチのボサノバ。このトーンがとても夢心地でボサノバのスタンダードの選曲もいい。

ブルーノートでは珍しいヴォーカル・アルバム。もっとも最近ではノラ・ジョーンズとか珍しくもないが、シェイラ・ジョーダンはブルーノート最初のヴォーカリストでアルバムを出した女性歌手。チャーリー・パーカーやボビー・ティモンズ(メッセンジャーズのピアニスト)曲を器楽的に歌いこなす(スキャット風)才女。この人のアルバムはそんなにないので貴重だ。特にこのブルーノート盤は素晴らしい。

最後に紹介するのは、たぶん誰も選ばないかもしれないけど一部のクラブシーンでは有名盤。ジャズというよりファンクなプロテスト・ソングという感じ。ゲットーだから砂漠のパレスチナというようなイメージですかね。こういうアルバムは70年代のジャズの迷走期に作られたのだと思います。

(ジャズ再入門No.3)


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