美奥
恒川光太朗(2011)「草祭」新潮文庫
を読みました。
美奥という地域が舞台の連作短編。
靄につつまれた草のうえをはだしで歩いていくような心持がします。
日常と線続きになったふしぎな世界のおはなしで、どれも別世界につれていかれてしまうおもしろさがあります。
全体として好きなのは『朝の朧町』ですが、ラストが爽快なのは『天下の宿』です。
一気に読んでしまいたいのに、この世界と別れてしまうのが惜しくて、すこしずつすこしずつ、アルコール度数の強いお酒をなめるように読みました。
現実に疲れてしまったときに迷い込みたい1冊です。