愛のかたち
岸本佐知子編訳(2008)『変愛小説集』講談社
を読みました。
冒頭の「五月」が、木に恋をしてしまったひとの物語だったので、このようにひと以外に恋をしたようなひとたちの物語集だと思ったのですが、少し違いました。
バービー人形に恋をした男、皮膚が宇宙服になってしまう病気、外から存在を知られていない島にすむひとたち。
そんな「変」な状況下におかれたひとたちの愛の短編集です。
編訳者があとがきで述べているように、どの物語の登場人物も、純粋で鮮烈な愛を溢れさせているという点が印象的でした。
特に、「五月」が好きでした。
木に恋をし、木のことしか考えられなくなってしまった恋人を見つめる愛の深さ。
最後の場面がとても幻想的に脳裏に浮かびました。
「変愛」とはなんでしょうか。
わたしたちの愛は普通なのでしょうか。
そんなことを考えさせられる1冊です。