商品名で売上はかわる?
お客さまから、こんな質問をいただくことがあります。
商品名って売上に関係する?きちんと時間をかけて考える必要ある?というものです。
商品名を変えただけで売れるようになるのか
基本的に商品名・サービス名に良し悪しはないと思っています。
なぜなら商品が売れるかどうかは、「マーケットがあるかないか」に尽きるからです。
ですが、プロモーションとしての意味はあると思います。
もともとマーケットはあるのに、誤った商品名によって商品価値が伝わっていない場合、商品名を変えることで売上が変わる場合があります。
「鼻セレブ」や「お〜いお茶」の例がよく使われますね。
これは、商品名を変えることで、表面化してなかった市場と商品価値がうまくむすびついた事例です。
ですから「商品名を変えること」がパズルの最後のピースになっただけで、それ以前の開発からマーケティングに至るすべてのプロセスがすべて重要なのです。
「商品名を変えただけで売れる」というのは大きな間違いです。
商品名もマーケティングの一部
ただ商品名をうまく活用し、市場のなかで独自の存在感をしめしている商品もあります。
たとえば「学校用ぞうきん」という商品があります。
雑巾のニーズは、大きくわけて2つあります。自宅でのおそうじニーズ、そして学校へもっていく用途です。
皆様も体験したことがあるかと思いますが、小学校では学期はじめに掃除用の雑巾を持参します。そのため時期がせまると、多くの家庭がスーパーやショッピングセンターで雑巾を買い求めます。そのような時、商品名に「学校用」とはいっていれば、必然的に選ばれやすくなります。
「マイネーム」という商品も同じです。
学校でつかう用品にはサインペンで名前を書きます。マイネームは洗濯に強い油性サインペンです。「名前を書くためのペン」と名乗っているため、今でも文房具売り場の片隅にしっかりポジションを確保しています。
モスバーガーのブランドに「モス&カフェ」という業態があるのをご存知でしょうか。
これは「食べる専門」のモスバーガーではなく、「カフェ利用」を想定したモスバーガーです。商品のラインナップは7〜8割はモスバーガー店舗と同じですが、一部カフェ利用に適したラインナップになっています。
こちらも名前にあえて「カフェ」が入っていることで、休憩客やデザート客が入りやすい仕様になっています。
商品名は店舗の入り口
愛知県には、日本三大神宮ともいわれる熱田神宮があります。
熱田神宮には、「神宮西」と「伝馬町」という2つの駅が直結しています。
今年の初めから、そのどちらにも「熱田神宮」という名前が追加されました。
これは商売上の理由だそうです。
実は以前は、熱田神宮の参拝者は、「神宮西」駅で下車することが多かったそうです。しかし、実は「伝馬町」駅の方が入り口まで近かったりするのです。
そこで、どちらにも「熱田神宮」の名前を冠することで、片方の駅に利用者を偏らせず、均等にお客さんを誘致することを狙ったそうです。
商品名は無料のマーケティング
「神は細部に宿る」のとおり、マーケティングのプロたちは、商品名の一文字一文字を徹底して考え尽くしています。
吉野家とライザップがコラボで商品を開発する際、「RIZAPサラダ」なのか「RIZAP牛サラダ」なのかで最後まで議論したそうです。
商品名は、お客様が最初に目にする「顔」のようなものです。
前述したように、名前を変えたことが必ずしも売上に直結するわけではありません。しかし、特定の市場を戦略的にねらうのであれば、商品名はひとつの重要な要素です。
今一度、自社の製品やサービスの商品名について、考察してみてはいかがでしょうか。
参考になれば嬉しいです。