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さあ行くんだ その顔を上げて

ああ、やっと書ける。4連勤初日にコンサートがあって、感動冷めやらぬうちに書きたかったんだけど、翌日も早番でその後2日は遅番。眠い……早く休みが来てくれ……ということで今日書いている。

8/31に東京国際フォーラムの「銀河鉄道999 シネマ・コンサート 特別追悼公演 松本零士を偲んで」に行ってきた。んもう最高に良かった。迷ったけど行って良かった。早番よ、ありがとう!私が定時で帰れるようヘルプしてくれた先輩、ありがとう!

何年か前に「銀河鉄道999」「さよなら銀河鉄道999」のシネマコンサートが開催されたのをYouTubeで見て、もし次があるのならぜぇ〜ったいに行きたいと思っていたところに、いつものようにイープラスを徘徊していたら見つけたのだ。そういえば、今年の2月に松本零士さんがお亡くなりになった時、Instagramでつぶやいたっけ。

私は漫画やアニメはほとんど見ない。持っている漫画は「キャンディ・キャンディ」と「きみはペット」だけだし、アニメは「銀河鉄道999」「さよなら銀河鉄道999」(どちらもAmazonプライムで購入済み)だけだ。

なぜ宇宙戦艦ヤマトではなく銀河鉄道999が好きなのか。幼い頃、星を見るのが好きだったから?うーん、それとも違う。テレビアニメで連載していたのも見ていたからか?うーん、そうかもしれない。幼いながら、劇場版の鉄郎を見て「あ、かっこよくなってる」と思った記憶があるから、テレビからの流れで映画を見たんだろうな。

銀河鉄道999の中で何に憧れる?永遠の命?999号?色々な星に行けること?私は圧倒的に「メーテル」という存在だった。40年以上前、小学生の私は「な、な、なにこの美しい人は!」と衝撃を受けた。美しくて強くて優しい。そう、強い人は優しいのだ。弱い人ほど他人に厳しい。

当時、トレーシングペーパーを買ってきて、映画のパンフレットのメーテルのページを開いて上に置き、メーテルの細部までなぞって描いたものだ。長い睫毛、きらきら光る瞳、金色の長い髪の毛、黒いふわふわの帽子。全てが大人の女性を表していて、宇宙を旅することよりもこの美しい女性に憧れ、夢中になった。

ねぇ、メーテル。鉄郎が好きならなんで去って行くのよと子供心に思ったが、ゴダイゴさんが歌う「銀河鉄道999」の歌詞の中にある通り、「別れも愛のひとつ」というのが今では分かる。でも、そうはいっても好きなら別れなくてもいいじゃないのよ。不倫してるわけじゃないんだし。と考える色々知ってしまった大人の私の心は汚れてしまったのね。

というわけで、シネマコンサートは最高だった。映像はそのままで、東京フィルハーモニー交響楽団がフルオーケストラで劇中曲を生演奏するという贅沢さ。しかもあんな編成見たことないというくらいのフルフルオーケストラ。サントラ版CD以上の素晴らしい音色で、銀河鉄道999×フルオーケストラという私の好きと好きが合体した一粒で二度美味しい素晴らしい時間だった。

鉄郎にとっての青春がメーテルなら、私にとっては「銀河鉄道999」と「さよなら銀河鉄道999」が青春。青春の日々って一瞬でその頃に戻るよね。そのスイッチが私にとっては銀河鉄道999。2時間40分の間、私は時を超えて小学生に戻っていた。

これ以上ない映像と音楽でした
実際の座席からはこんな風に見えました

でも、さっきも書いたけれど、色々知ってしまった大人の私は映画を見ながらツッコミを入れてしまったのだ。999に乗っている鉄郎が、並走しているエメラルダス号に向かって戦士の銃をぶっ放しちゃったシーン。おいおいおいおい真空の宇宙でそんなことしたら中の空気が漏れてヤバイことになる!!!って現実的に考えちゃったのよね。Tシャツを着たまま国際宇宙ステーションのハッチを開けちゃうのと同じだからさ。それにエメラルダスはどうやって999に乗り込んで来たの?!いけない……私は純真な心を忘れてしまった……

そして999が発車すると、これ45度以上はあるよね?という急勾配の線路を登って行くのだけど、線路が途切れた後はもうほぼ垂直に登って行くのが「重力に逆らうロケット並みですやん」と心の中で関西弁でツッコミを入れてしまったの。どんな燃料を積んでいるんだ?と本当に嫌な大人になってしまった……真っ直ぐ素直に見ようよ……

ヘビーメルダーのホテルの前で、鉄郎、メーテル、ハーロック、エメラルダスが集まるシーン。広い宇宙を旅する海賊2人と機械帝国の女王の娘、そして生身の人間の4人が一箇所に集まるってすげぇ!そうそうないぞ?とニヤニヤが止まらなかった。豪華なシーンのはずなのに、私は無垢な心を忘れて汚れてしまった……

クレアがプロメシュームに抱きついただけで殺めることができたんだったら、機械化母星を破壊するのは割と簡単だったんじゃないか?とか。映画館でしゃくりあげて泣いていた小学生の私が聞いたら興醒めするようなことばかりを思ってしまった大人の私。

とはいえ、キャプテン・ハーロックとクィーン・エメラルダスはかっこよすぎ。ハーロックのテーマソングも最高にアガるし、エメラルダスみたいに冷徹になって、サーベル銃でバッタバッタと敵を倒してみたい。ハーロックが惑星ヘビーメルダーの酒場に入ってきて、ミルクのキャップを親指で開ける時、口元の片方が一瞬歪むシーンが好きなのよ。人間の動きのリアルさをよく表現しているなと思う。

ハーロックとエメラルダスが惑星メーテルを破壊する時に鉄郎に加勢するんだけど、その時ハーロックが「いいか、鉄郎にかすり傷ひとつ付けるな。無事に地球へ帰すぞ」って言うんだよね。それがもうゾクゾクしちゃってハーロックにキュン死♡私も守って〜!と言いたくなる。エメラルダスは999が攻撃されずに無事に発車できるように入口を塞いでいてくれたし、ハーロックとエメラルダスが職場にいてくれたらいいのに!!!と真剣に思った。そうなの、メーテルもハーロックもエメラルダスも強くて優しいのよ。本当に強い人は優しいの。決して他人を陥れたりなじったりしない。だから人が付いて来る。

なんだかんだ言っても毎回見ると感動する銀河鉄道999。今回のシネマコンサートではアンコールが最高だった。松本零士さんの歴史を振り返る映像と共に流れる劇中曲の数々。これがまたノスタルジックな古い写真と合うんだ。もちろん映画のシーンに合わせた曲だから当たり前なんだけど、松本零士さんの存在そのものにも合うのね。

そして涙腺が崩壊したのは「さよなら銀河鉄道999」のエンディング曲の「SAYONARA」のイントロが流れてきた時。私はこの曲が大好きで、この曲をいつでも聞きたくてサントラ版を買った。YouTubeも何回も見た。

そんなSAYONARAが松本零士さんの写真と共に追悼曲として演奏するなんて反則すぎる。泣くに決まってるじゃないか。

そして、タケカワユキヒデさんが登場して銀河鉄道999の生歌を泣きながら一緒にうたったわ。このゴダイゴの銀河鉄道999は、離婚した時によく聞いていた。離婚は自分が選んだことだけど、2が1になるのは思ったよりメンタルに来た。結婚で守られていたんだなと1人になって痛感した。そんな時、1人で眠る夜によく聞いて奮い立たせていたのがこの銀河鉄道999。小学生の頃から聞いていて、離婚というライフイベントにも聞いていれば、そりゃ思い入れのある曲になるよね。

なんかもう永遠に見て・聞いていたいシネマコンサートだった。おかわり!と言ってもう一度最初から最後まで見たかった。「さよなら銀河鉄道999」のシネマコンサートもやってくれないかな。そしたらぜ〜ったいに行くのに。

終了後、出口に向かうとパンフレットとポスターの販売に長蛇の列ができていた。やっぱりあんな素敵なコンサートを見たらパンフレット買いたくなっちゃうよね。しょっちゅう見なくても「行ったんだぞ」という記念として残しておきたいよね。

40年以上前に見た時のパンフレットはもう手元にはないので、今回のパンフレットを残りの人生で大切に持っておこう。大人の青春として。

終わってからパンフレットを買ったら長蛇の列